ペアレス②
次に見えた相手は木陰に隠れながら、その視線の先に別の相手を見ていた。
手持ちの武器は短い杖のようで、格好も動きやすそうである。
体つきからみて女子学生か。
彼女の相手は周りを索敵しつつも罠を張っているようで、その隙を彼女は狙っているらしい。
こちらは気づかれていないらしい。
僕は、近くの木の上に移動し、彼女がいる木まで枝伝いに移動する。
上までたどり着き、どうやって倒したものかと考える。
現在の彼女はしゃがんでいる姿勢のため、先ほどの男子学生と同じ方法とはいかない。
腰につけていたタグを入れているバックとは逆のもう一つに手を伸ばし、今日のために準備していた道具を確かめる。
んん……お?
偶々指に触れたそれを取り出し、2対の銀色が見える。
金属の細棒。
元々は投げ武器として閉まっていたものだが、これを見た瞬間に面白いことを考えた。
1本ずつ手に持ち、次にはクロスするようにぶつけ合う。
当然だが、金属のぶつかる音が鳴る。
(よし、この音を僕の魔術で―――)
キーン、キーン、キーン。
「……ん?」
下にいた女子生徒は、突然聞こえてきた音に反応し、周囲を見回す。
しかし、怪しい影はどこにもなく、音だけしか聞こえない。
彼女が警戒しだして頭を周囲に振り出した瞬間を狙い、次の音では一緒に魔術を展開させる。
振動の魔術だが、その対象は音に対してだ。
この振動で金属音の振動を増幅させ、上手く操作することで下にいる彼女だけが聞こえるようにした。
そうして発動した音は一瞬で彼女に届き、頭を一気に振り上げた彼女と僕は偶々目線がある。
その後は意識を失ったようにバタンと倒れていった。
倒れた音に気付いたのか、彼女が狙っていた相手もこちらに振り向いてくるが、同じように音を鳴らし、彼も眠ってもらうこととした。
そして、周りに誰もいないことを確認して、2人のタグを頂いていく。
「使ってみると、2人目の距離はぎりぎりだったなぁ。
最高でも30mってところかな」
この方法なら、体力を使うことなく他学生を無力化できる。
この作戦で少しの間は対戦を進めていこうかな。
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