ペアレス③

《ピア視点》

「さようなら」

「いや、ちょっと待って……」


魔術で地面から面の広い筒を生み出し、目の前にいた男子学生を宙に放り出した。

木の高さまで登っていき、その後は地面に落ちてくるのを待った。


これで7人目。


「状況と雰囲気を読まない人は第一点で嫌いなの」


バタンッ!!


砂ぼこりを上げながら地面に落ち、意識を失う学生からタグを外していく。

この人もまた、私の前にノコノコ出てきた人だ。

1人目から思い返すと、やれ「僕についてこれば安心だよ」×2とか、「ペアを組みませんか?」×3とか、「運命的な出会いですね」とか。

現在進行形で競い合っている最中、こんな人たちは一人二人いるものね。


それに、ペアを組みたいと言ってきた人たちには、他以上の躾をしておいた。

私の隣に立つのはあいつだけで、それ以外の人はありえない。

そう、あいつだって私がいないと何もできない……。


ここで、さっきまでの男たちをもう一度思い返した。

男が女性を口説くことは意味がいろいろあるだろうが、どこに切っ掛けがあるかわからない。

そんな中、あいつは異性のどこに興味を湧かせるのかしら。


顔?

スタイル?

胸?

性格?

過去?

人間関係?


そう考えていると、あいつが私以外の女性を口説いているんじゃないかと思えてくる。

知り合い関係はそれなりになった現在だが、あいつの全部を知り切ったわけでもない。


……。


「あー、もう!

さっさとあいつ以外全員倒して、甘えるんだから!!!」


周りに誰もいないことは確認済みの状態で叫び、気持ちを安定させる。

今は男女関係を後回し!

やることをやって、今夜の楽しみを目指そう。


7人目から奪ったタグをポケットに仕舞い、森の中へ歩いていく。

……早く会えないかしら、リクラ。

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