ペアレス(朝)⑧

「元々、評判を気にしているなら、僕に話しかけない方がいいじゃ……どうしたんだよ」


文句を言おうとピアの顔を見ていると、僕の頭から服を何度か往復するように見てきた。

そんなに変な格好だったかな。


しかし、ここで普通に聞いては2人の時に何をされるかわからないので、この雰囲気でそのまま話を続ける。


「それで、他に文句は?」

「ふ、ふん!

ライバルにしては生意気な格好ね!」


(いや、ピアが着せたんだからね?)


「しょうがないだろ。

この服装がうごきやすいんだから。

あぁ、君がピンチの時は、2回くらいなら助けに行ってもいいよ?」

「!?

な、なななにを言っているの!!

泣きべそ掻くのはあんたなんだから、『助けてくれー』って大声で叫べば助けてあげるわよ」

「そんな状況は考えられないし、どうして泣きべそ掻くのがほぼ確定事項なんだ。

着ている服の色みたいに、思考が燃えすぎているんじゃないか?」

「あんたの態度こそ、その服の色みたいに腹黒のくせに!

……今日のペアレス、さっさと負けてきなさい。

いや、直ぐに私のところに来なさい。

私が直々にけなしてあげるわ!!!」


そう言い切り、ピアは反対へ向いて僕から遠のいていった。

あぁ、この設定、本当に疲れるなぁ。


「なんだ。関係が随分と暗雲じゃないか。

浮気していたことでもバレたのかー?」

「いやいや、違うから。

あいつが言っていた通り、ライバル関係らしくて、ただの腐れ縁だから」

「そうかー。

……何かありそうな気はするが、今はそうしておこうか」


ケラケラと笑うキークに苦笑いだけしておく。

余り言い過ぎてもいいことはない。


しかし、先ほどのピア。

赤を基調としたロングドレスに黄緑の羽織をし、舞踏会に出そうなの服装なのに実戦で使用できるものを着ていた。

似たような服をこれまで何度か見たことはあるが、今日は髪型も変えていたので、大人びた雰囲気を出していた。


振り返った時、少しドキッとしたことは内緒の話である。

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