初夜(期待は〇✕)③

全ての料理を食べた後、会計をすると共に、料理人に会えないか相談したところ、体格の大きい手慣れた傭兵のような白髪の人が出てきた。


話を聞くと、元王室警護隊兼料理長だったが、既に引退していて、今はこの店で好きに料理しているとのこと。

また、僕たちと相手してくれていた方が奥さんらしい。

……奥さんの方がすごく若いように見えるが、何も言わないでおこう。


帰り道、開いているお店で明日の朝食材料を買って帰る。


「あのお店、美味しかった!

あのお父さんの経歴なら、頷ける味だったわ」

「まさか、この町で料理店を開いているとはね。不思議な出会いがあるもんだよ」

「雰囲気も良かったし、今後はあんたの料理と交代で通ってもいいかも♪」

「あくまで僕の料理当番は消えないのか」

「当然よ!

それともー私が、他の要因で、他の男に懐いても大丈夫なのかしら?」

「…………大丈夫だよ、君が良ければ」

「フフッ、今の間といい、言葉といい。

安心しなさい。私はあんた以外を好きになることなんて無いんだから」


ピアは機嫌よく、僕の左腕に自分の腕を絡ませてくる。

……どう足掻いても逃れられないと。

しかし、やぶさかでも無かったりするので―――。


「うれしいと?」

「……何でもないよ」

「うーそ♪

あんたは、私だけがわかるような表情をするんだから」


ピアはその後も追撃しようとし、僕はかわすので精一杯だった。

僕って、気持ちが表情に出ちゃうのかな。


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家に戻ったあとは、食材をキッチンに置いてそれぞれの部屋に分かれることとなった。

一旦は、部屋の中に置かれていた荷物の配置を確かめる。

自分で置いていればわかるが、事前にどちら様かが運び込んでくれたので、地理感がない。


このクローゼットには私服と靴と……礼服?

あれ、こんなもの、持っていたっけ?

しかし、現在、僕の部屋に置かれているので、たぶん僕のなんだろう。


触らないようにしようと決意する。


また、それぞれの部屋にはシャワーが付いているらしく、見てみれば2人が軽く並んで入れそうなほどのユニットバスとシャワールームが広がっているのだった。


どれだけ金持ちの家なんだ。

どうして、こんなに広いんだ。

ピアの部屋のシャワーもこんな感じなのかな。

……。


僕はサッとシャワーを浴びることとした。

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