お戯れ⑤
「それでは、最後になります。
今年度新入生主席、リクラ・ウィントリン君より言葉をもらいます」
司会の方に促され、一段高い壇上に向かう。
いくら、この部屋に数名しか居ないとしても他の人に観られていると思うと、緊張が。
僕には過分なことだけどなぁ。
「今年度新入生を代表しまして、リクラ・ウィントリンがお礼を申し上げます。
私たち新入生は数週間前までそれぞれの道を進んでおり、本日、このレガード専門校に入学しました。
専門校での役割としては、よく学び、卒業後の世界で活かしていくことが重点かと思います。
私としても、これからの講義や実習等を通じて実施していきます。
その中で、私は更にしたいことがあります。
自身で興味を持っているものへの飽くなき探求、何事も挑戦すること。
ただ勉学をしているだけでは面白くなく、他校との違いもありません。
レガード専門校だからこそできる学びを見つけていきます。
在校生の先輩方、先生方につきましては、どうぞ私たち新入生に対し、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。
また、同級生となる皆さんも、これからよろしくお願いします。
以上、リクラ・ウィントリンの言葉と致します」
あぁ、やっと終わった。
緊張のし過ぎで倒れそうなくらいだ。
壇上から降り、手招きをされているサンクトさんのところへ向かった。
「いやぁ、今年の新入生はまたしっかりしているなぁ」
「ん。これからが楽しみ」
近づくと、サンクト先輩と一緒に銀髪の女性が誉めてくれる。
「ありがとうございます。
サンクト先輩、すみません。
こちらの方を紹介頂けますか?」
見たことのか無い人だったので、自然と質問をした。
すると、女性はサンクト先輩のことを笑顔で見る。
「サンクト、君はまさか、私が挨拶を始める前に連れ出した訳じゃないよね?」
「ちょうどいいタイミングだったろ? 学生会会長の言葉が終わって、すんなり入り―――ぐっ!!!」
学生会館会長と呼ばれた女性の周囲が赤くなり、棒のようになった炎がサンクト先輩の溝を打つ。
ほぅ、火の魔術が得意な先輩なのか。
ましてや、発動した魔術は熱さを感じず、物質のような固さを持ち合わせているようだった。
並みの制御じゃ出来ないことだ。
よくやったと思われていたサンクト先輩は、それによってカーペットのように突っ伏したのだった。
「非常に遺憾!
かわいい後輩への紹介を邪魔するとは、なってない副会長。
あとで、折檻対象」
いや、いま折檻されたと思うんですが、これ以上されるんですか?
僕の中で、この人は怒らしてはいけない人と定義することとなった。
「さて、君にとっては初めての自己紹介となる。
私はレガード専門校、学生会会長のシルヴィア・ワイガーという。
君の入学を心からお祝いし、とても興味を持った!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます