お戯れ④

学長たちがいる場所まで、いくつかの角を曲がりながら進んでいく。


「リクラ君はこの学校に来るのは、今日が初めてかい?」

「はい。僕が住んでいるキキニシャは、馬車だと3日の距離なので、事前見学会には来れなくて」

「気にすることない。この専門校の学生は、そのような者がほとんどだし、今日明日と学校内を案内してもらえるだろう。因みに、リクラ君のお目当て、行きたい場所はあるんかい?」


行きたい場所か。

高等校の時に校長先生から少し話を聞いていたが、どの専門校にも大抵のものが揃っているらしい。

そして、多くの学生が在籍しており、新しい魔術等が常に開発されることから専門校の周りは都市が形成されている。

だからこそ……。


「そうですね、僕としては図書館、媒介素材店、それと喫茶店を周りたいかと」

「ほう、その理由とか聞いても?」

「図書館と媒介素材店は魔術の勉強です。自分なりに新しいものを作ることが好きでして。それ以外に図書館はまた理由がありますが。喫茶店は、僕にとって一種の趣味です」

「勉強熱心だな、いいことだ。それと、喫茶店が趣味っていうのはどういうことだ?」

「僕の実家が喫茶店をしているので、他のお店がどんなものを出しているか敵地調査しているんです。特に、専門校周辺となれば若者が多いので」


窓から見えるを見ると、その先にも一軒の喫茶店が見える。

よし、今度の休みに行ってみるか。


そう考えていると、サンクトさんに笑われる。

それは嫌味的ではなく、理解の色を示している感じで。


「敵地調査か! それは特に重要だな。俺の実家も商家だから、他の店歩きをよくしているもんだ。なんなら、リクラ君おすすめの喫茶店を見つけたら、ぜひ誘ってくれ」

「その際は是非に」


二人で他愛のない話をして着々と会場にたどり着いていく。

しかし、男2人で行く喫茶店か。

場所は考えないといけないかな。ピアと一緒に行くような店だと、異様な光景を生み出してしまう。

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