お戯れ②

人生、出会う人にはいろんな背景があると思うけど。

門番の人たちは僕ら(実際は僕以外の2人)の名前を聞いて、地面にひれ伏し、『申し訳ございませんでした。どうぞ、お進みください!』という限りになってしまった。


それはそうだ。

身分が町長や大商人ならまだしも、上将『ダリアント』家という大貴族と、シーシェル国の王族という組み合わせ。

平民ならこうなって必須だ。

僕も習って彼らの隣に移動しようとしたところ、ピアに首根っこを捕まれ学校の中に引きずられていった。


『あんたは私のパートナー。

私より上の身分に対して以外はしなくていいの。

(まぁ、私以外の女性なんかにする必要性はないというか……)』


『私に対しても必要ありませんよ。

公務ではありませんし。

それに、私のお友達になって下されば、私は嬉しいです』


あぁ、僕の周りが少しずつ慌ただしくなっていく。

……あ、でも、これって物語に使えるかな。


『いいネタで済まそうと思わないこと。

これは、私とあんたの物語。

もっと盛り上げて、幸せになるの♪』


やっぱり破天荒な人生だ。

物語のように明るくならないかな。


###

そうして、今進行中の入学式に戻る。

席は成績順と一応なっているが、普通は身分も加算される。

特に上位となれば、より。


しかし……今の状況は何か。


「どうして、この席に?」

「正当に評価されることはいいことよ。

元々、身分なんて親の評価結果だし。

高等校の時はそういかなかったけど……」

「面接のときに聞かれていると思いますが、身分は関係なく評価され、成績が決められるそうです。

私としても、この学校を選んだ理由はそれです」


僕の隣2人は嬉しそうに話をされるが。

会場に入って自分の席を探していたら、最前列、中央だった。

受付をしたときには、『あら、あなたは……。今年の新入生の言葉たんとうだから、始まるまでに考えておいてね!』とまさかの無茶ぶりをされたが、これが結果だったなんて。

しかし普通、登壇するとなれば入学式以前に話が来て、考えておくような通知があってもいいはずなのに。


おかしい。

会場の端に座られている教授陣、国関係者を見る。


「それでは、定刻となりましたので入学式を始めます。

始めに学長、手短にご挨拶を」


司会の女性は、笑顔で直球発言を。

す、すごい人だな。


登壇を開始した学長は進行の女性を見ながら、何かをつぶやかれている。

これ、なんか高等校を思いだして―――。


「では、手短に挨拶をしようか。

レガード専門校学長、オリバ・ターストだ」



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