見極めと拾い物⑤
僕たちから見て近い小屋の鍵を壊し、扉を開ける。
すると、中には女性3人と子供5人が各々手足を縛られて閉じ込められていた。身なりは1人を除き平民のようで、扉から入ってくる光に目を細める。
「こ、子供たちだけは手を出さないでください!」
その中で、身なりが他の人と違う金髪の若い女性が、2人の子供の前で膝立ちこちらに懇願してくる。その顔は必死で、体を小刻みに震わせながらも声を張り上げていた。
「落ち着いてください。僕たちはあなた方を助けに来たんです。盗賊達は既に対処してありますから、安心してください」
「あの盗賊たちを……あなた達は?」
「今日から専門校に入学する学生よ。私たちも同じ様に襲われたから、助けに来たの」
その言葉を聞いて、捕まっていた人達が目を見開き、「その人数で!?」と声を挙げる人も。
茶髪の女性が代表して話を続ける。
「あ、ありがとうございます!」
「他の小屋もこんな感じなんですか?」
「ここにいる者は、比較的最近、2、3日で捕まった者達です。私も昨日、近くの街道を走っていたら。入れられた後、ここから出ることもなかったので、他の小屋のことは。ただ……」
そこまで話して、彼女は俯いてしまう。
「夜になると、外から女性数人の叫び声が聞こえて……」
彼女の言葉を聞いたピアは直ぐに反転して、次の小屋に向けて走っていく。
僕も追いかけるために「ちょっとすみません」と言い、カリュアさんをその場に残して走り出す。
先に着いたピアは、木製の扉に触れて魔術を展開し、扉を小屋から剥がして外に捨てる。
そして、入り口から動こうとしなかった。
その隣に立った僕は中を見て、言葉を失った。
床には、ほぼ全裸の女性5人が力なく寝転がっていた。髪はくしゃくしゃとなり、開かれた扉の方を誰一人として見ようとしない。
扉近くにいた1人の首に触れて脈の確認しようとすると、寝息が聞こえる。
しかし、体の至るところに擦り傷や腫れができており、相当酷い扱いを受けたことを物語っていた。
「……外道な奴らが」
「外にいる3人は殺しちゃ駄目だからね。前に捕まっていた人がいないか聞き出す必要があるんだから」
「判ってる。早く治してあげましょ」
僕とピアは手分けして彼女たちに触れて治癒魔術をかけていく。
治癒魔術は技術があれば誰もが使用できるもので、治癒量も技術に比例していく。
5人全員の傷を癒し終え、もう一つの小屋を見に行く。
僕たちはさっきのこともあり、最悪の想定をしていたが、3つ目の小屋は子供たちだけだった。11人が膝を抱えるように座っており、僕らの方を向く。
「お、お兄さんたちは?」
「助けにきたよ、みんな。よく頑張ったね」
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