見極めと拾い物①

専門校まで行く方法が変わり、馬車で移動をする事数十分、馬車が止められた。

外ではそれなりの人数がこちらを囲んでいるようで、使用人さんの声がしない。


「ね、リクラ。外ってどうなっているかしら」

「たぶん、使用人さんが弓か槍で攻撃を受けて、馬車を止められている」

「カリュア!? ……早く助けなくちゃ!」


いきなり出ていこうとするピアの肩を掴んでとめる。

彼女が視線を向けてくるので、顔を左右に降って返す。


「止まった瞬間に引き摺り下ろされて、どこかに連れていかれたみたいだ」

「……あいつら」


顔を険しくしたピアは腰に着けていたポーチを開け、いくつかの種と葉を出す。そして、僕の右手を掴み睨んでくる。


「力を貸して! 一瞬で片付ける」

「わかった」


目を閉じて、意識を集中させる。外にいる一つ一つの振動を探知し、まとまったところでピアに情報を伝達させる。


「……そこか!」


標的が定まったピアは直ぐに魔術を展開させる。

そして、それに応じるように外から声が聞こえる。


『おい! なんだこの蔦は《グサッ!》ヴぁ!』

『ダクト! グブッ』

『に、にげ《バキッ!》』

『ひっ、《グサッグサッ!》』


幾つかの悲鳴が立て続けに起き、数秒後に止む。


「……カリュアさんを探しに行こうか」

「どうしてカリュアが……。あの人は、それなりに強いのに」

「それも、彼を見つければわか―――ごめん!」


扉の間に炎が見えた僕は、彼女を抱き込み、ドアに向かって魔術で僕の背中から体当たりをする。

扉が壊れるようにして外に飛び出した僕らを後に、馬車がさらに燃え上がった。


「?!」

「……あっちに魔術師が複数人いるな。そのうちの1人が初動を感じさせない隠密性の魔術使い。厄介だ」


街道には、先程ピアによっつ殺られた盗賊のような人たちが倒れており、地面から現れた棘や蔦が彼らを襲っていたのがよくわかる。そして、僕たち以外、立っている人影が無い。カリュアさんの姿もなく、見つめるとしたら街道右の森しかなかった。


「僕だと、居場所が掴めない。どうしたものか」

「……あいつら、ユルサナイ」

「おい!」

「私をどれだけ侮辱すれば―――!」


僕の腕を凪払うように飛び出したピアは、森の方向に低い姿勢で走りだす。

その行き先を注視すると、森の中から火焔球かえんきゅうが飛んでくる。それと、微動を3つ。


僕は2箇所に対して同時に魔術を展開。

一方は、ピアの加速を後押しするような振動。

もう一方は、微動を探知した3点の集まる場所に対して。


「っ、くそ!」


自分達が見つかったと判断したのか、森の中から声が聞こえた。

居場所は大体分かった。

振動を与えたピアは、飛来していた火焔球を軽々交わし、街道近くの幹に手を当てる。


「朽ち果てろ!!!」


手を当てた幹を媒介として、先程より大きな魔術が展開された。

彼女の周囲は強い光に包まれ、森から強い振動が伝わってくる。









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