第111話 裂戦!決着間近のフルパワー決戦

スキルの詳細を書いていなかったのでここで記載します。






【魔力消費軽減】

魔力消費時、一割軽減。(一段階アップ状態)

スキル効果により、一割軽減から二割軽減に上昇。


【魔力放出】

魔力を魔力弾、魔力砲と攻撃に転用可能。威力は魔法攻撃力に比例。魔力を一割消費毎に威力が二割上昇可能。(一段階アップ状態)

スキル効果により一割消費毎に威力が三割上昇可能に上昇。


物理攻撃力、防御力、敏捷力の上昇可能。

魔力消費量で効果が変化。発動時、魔力消費一割でステータス二割分上昇。継続時、常時魔力を少量消費。


↓のスキルは新スキルは『最強対決〜』でバルデスが〝空歩〟を説明していたセリフの後にソリトの考えを三人称で名前無しで書いています。


【魔力自動回復(小)】

十秒毎に魔力が微回復。(一段階アップ状態)

スキル効果により、(小)から(中)に変化。


↓変化後


【魔力自動回復(中)】

十秒毎に魔力が小回復。
















 

 「戦いが終わりただ楽しみが減る。それだけだあ!」


 そう言った瞬間、バルデスが突進してきた。


 直後、目の前から姿を消した次の瞬間、左から現れソリトは面食らい、突進を諸に受けた。

 右半身を捻って反撃の拳を放つが、バルデスは回避して背後に回り込んだ。振り返って向かい打つが、肘を首に落とされる。


 ソリトはうつ伏せに倒れる前に両手を突き、上空に飛び上がる。だが、いつの間にかバルデスに上を取られ、手刀をうなじに入れられ地上に打ち落とされた。


 背中から落ちた瞬間、ソリトは体を仰け反らせて魚が跳ねるように立ち上がり、全体的に頭を動かしてバルデスを探し、背後に回り込んでくるのが見え、体を左に回転させて右拳を放った。

 直後、バルデスが現れ顔面に拳が直撃し後ろに仰け反り返した。


 その体勢のまま、バルデスはバク転して着地した瞬間、視界から消える速度で左に移動した。同時にソリトも同じ速度でバルデスを追った。




 地上を激しく動き回り、攻撃を仕掛けては壮絶な威力の攻防が繰り広げ始めたソリトとバルデス。

 瞬きすれば、見失ってしまう様な予感が居座り続け、言葉も口がずっと開いていることさえ忘れてしまう程、ファル達は二人の激戦に目が離せなかった。


 攻撃が衝突し合うと大地が激しく揺れ、踏み込む度に足元が小さく爆発する。

 次第に二人の激戦は攻防から攻撃と回避に変わっていく。


「は、速すぎる」

「「…………」」

「速いだけじゃないです。二人とも全然息を切らしてません」


 どうやら、気付いていなかったらしく、カロミオ達から息の漏れる音が聴こえた。

 そんな事を考えていると、攻撃と回避が再び攻防に変わっていた。


「もう誰も介入出来ないし、勝敗も分からない」


 ファルが独り言を呟いていると、カロミオからその言葉の返答が来た。


「そうかもしれないね。けれど私はソリト君が勝つ事を祈る」

「勝った時は、会頭として彼に礼を尽くさねばならん」

「私も旦那様達を全力でサポートしてもてなしましょう」


 冤罪を立ててもソリトは人を自然と味方に付けてしまう。そこが彼の良い所の一つだ。

 ただ、それに嫉妬や脅威として恐れを抱く者もいるが。


「【調和の勇者】って知った時は悲しかったけど。でもやっぱりソリトで良かった」


 そう呟いていた時、ファルは起こした事への制裁が近い内に下る予感がしていた。






「ツヴァイブ・ヘルフレイム!」


 黒い爆炎が至近距離から放たれ、ソリトは反射的に腕を交差して防御し、視界が爆煙で遮られる。


「あっつ!!」


【火炎無効】でダメージはないが、熱は通る。命中した瞬間に感じた高熱に思わずソリトは言葉が漏れた。

 その時、爆煙からバルデスの左拳が下から迫り、ソリトの頭部側面を直撃した。


 直後、ほんの一瞬だけソリトの意識が飛んだ。

 そこへ更に、バルデスに顔面へ拳撃を集中砲火で浴びせられる。


「獅子王拳!」


 意識が戻った瞬間、目の前で放たれた獅子の拳を上半身を瞬時に後ろに倒して回避して、バルデスを両足で上に突き飛ばす。

 そのまま伸ばした両足を使って後転し、足先だけが着地したと同時に、ソリトは上空へと跳び上がりバルデスの上を取った。

 そして、最大限まで体を捻り右拳を振り落とすが、寸前の所で回避された。


 堪らない〝悔しさ〟を感じていると、上を取ったバルデスから攻撃が放たれた。

 左斜め下へ回避して空中を蹴って右拳を突き上げ反撃すると、バルデスも再び回避して右側から反撃しては回避してソリトも膝蹴りを繰り出す。


 再びまた回避され反撃がくれば、こちらも回避して反撃を幾度も繰り出り返していく。


 そうして、ようやくソリトが膝蹴りをバルデスの腹にに打ち込んだ。更に追撃の一発を背中を狙って振り落としたが、それは回避され反撃を右頬に喰らって殴り飛ばされるが、ソリトは何とか踏み留まった。


「はぁ…はぁ……やるじゃないかホントに。正直言って、想像以上だ」

「…はぁ……俺にとっては悔しい限りだ」

「…あと少しといった所か」

「ん?」

「さて、そろそろ行くか」


 バルデスが〝空歩〟で凄まじい速度で突進してくる。


「ずああ!」

「はああ!」


 ソリトも突進し、互いに前に出していた右腕が激しく衝突した瞬間、大地が揺れる程の衝撃が響き渡った。


 それから再び激しい衝突を繰り返していきながら、徐々に反撃と回避の戦いを再び展開していき、バルデスが後退して距離が離れていく所へ、ソリトは体を縦横に回転させながら接近して、回転を加えた鋭い蹴りを顔面に突き出した。


 仰け反っていくが、バルデスはその途中でその場から消えた後、上空から急降下して、そのままソリトを地上へ突き落としていく。

 だが、ソリトは大地が目の前まで来た所で地面に素早く手を突き、体を左に捻って突進から抜け出し、直撃落下を免れた。


 距離が一旦置かれたが直ぐに縮められ、背後にあったクレーターとの境目に追いやられ、その場で猛攻を受ける。

 徐々に仰け反って行く体を横に捻ってバルデスの猛攻から外れる。今にもクレーターに引っ張られ崩れそうな体勢のまま倒立して移動しながら戻していくが、そこへバルデスが接近してソリトの足先を狙って蹴り上げてきた。


 タイミングを計って、ソリトはバルデスの頭上程まで斜め前に跳び上がりバルデスの背後に回った瞬間に、クレーターへ突き落とそうと背中を押し蹴った。

 だが、それを読んでいたのか全力でブレーキを掛けた。


 背を蹴りながら距離を取り、着地した直後、バルデスはソリトの後ろへ回った。

 同時にソリトは着地体勢のまま体を捻って繰り上げたが、バルデスは左前腕で防ぎ、右拳を振り落として反撃を掛けてきた。


 仕掛ける直前、ソリトはその場から移動して突っ込み蹴りを繰り出す。回避されて左隣へ回り込まれた所へ回し蹴りを放った。同時に、バルデスの蹴りを受け、互いに蹴り出す結果になった。

 

 体を回転させ、負担と速度を落としながら着地してソリトは上空へ飛び上がって一度待避する。


 だが、バルデスに上空を取られてしまった。

 接近する前に、ソリトは体を捻って上昇していく体を止めると、上空で進路を塞いだバルデスが視界に入った。


「「…………」」


 互いに見合っていると、バルデスがゆっくりと目を大きく開いて笑みを浮かべた。


「素晴らしい戦いだ。では、この攻撃はどうする?」


 そう言って、バルデスはスッと手を突き出した。


「何だ?……何を言ってる」


 怪訝な表情で、ソリトは警戒しながらバルデスの言葉の意図を考えていると、そのバルデスの手の平から光の球体が現れた。

 その直後、広範囲に何十数もの球体を放たれた。


 ソリトは空中で回避するのは不可能だと判断して、球体の進行方向と同じ方向へ駆け、地上に降りて攻撃範囲から外れるために直進する。


 バルデスは空から追いかけながら、光の球体を次々と回避する方向を邪魔するように広範囲に放ち続ける。


 それにソリトはひたすら命中しないよう地上を駆けて逃げ続け、慣れてきた所で飛び上がり、【空間機動】で空へ戻り、〝流水〟を使って回避しながらバルデスの所へ向かっていく。


 しかし、〝流水〟の発動時間が切れると近づく度に回避が困難になっていく。

 魔法を連発しても球体に正確に狙えるか予想がつかない。

 せめて【魔力操作】で魔法が操れればと思った時、ソリトは【魔力放出】のもう一つの能力が頭に浮かんだ。


「…使ってみるか」


 ソリトは手を前に出して【魔力放出】のもう一つの能力、魔力攻撃による魔力弾をバルデスと同じ数だけ連発して放った。


「これは、バルデスと同じ!」


 ソリトが放ったのはバルデスと同じ球体だった。

 狙いを定め【魔力操作】で魔力弾をバルデスの魔力弾へ衝突させた。

 その瞬間、巨大な爆発が地上まで巻き起こった。


 ソリトは爆煙の中を潜り抜けながら、地上に降りていたバルデスまで突進する。

 その勢いを加えた重撃の拳を放つと、両腕を交差させて防御され、右から反撃の拳を放たれたが、ソリトも両腕を交差して防御して左拳を繰り出すと、右手で受け止め再びバルデスから左拳が放たれ、それを右手で受け止めた。


 直後、ソリトとバルデスは一瞬だけ受け止めていた手を離して、互いに指を間に入れて掴み合った。


「ぬぅぅうぅああ!」

「くっっああ!」


 ソリトもバルデスも互いに険しい表情で徐々に力を加えていきながら取っ組み合い始めた。


「うあ!………どぅあ!!……」

「………ぬん!……………ふん!!…」


 加えられていく力を徐々に高めていくと、地上が小刻みに激しく震え始めた。


 更に地上は震え、ソリトとバルデスが踏み締めている足元や周囲の地面や岩も崩れ始めていき、二人の力場が原因なのか崩れた物が重力に逆らって上空に浮遊していく。


 そこまで力を加えた瞬間、ソリトはバルデスの頭に向かって頭突きを放った。

 するとバルデスも頭突きで対抗してきた。


 互いの脅威的な威力の衝突に頭を押さえ、睨み視線が合った瞬間、同時に顔面に拳を放って殴り飛ばし、直ぐに体勢を戻して突っ込んだ瞬間、ソリト達は殴りあいを始めた。


『武技:牙王白狼拳習得』


 武技を習得した瞬間、ソリトはバルデスの拳撃を避け腕を大きく引いた。


「牙王白狼拳!」


 白狼がソリトの右拳に纏いバルデスを襲う。


「くっ!魔闘技〝疾風牙狼〟!」


 聞いた事のない技を叫ぶと同時にバルデスは風の狼を纏った右拳を放ってきた。


 すると、後から放った筈のバルデスの技が先に頬に命中してから、ソリトの武技がバルデスの顔面に命中した。


「はぁ…はぁ……何だよ今の技は」

「……はぁ…はぁ…魔闘技と言ってな。武技に自身の魔力、もしくは自分の適性の魔法属性を合わせた技だ。また魔力属性や武技によって追加効果も変わる」

「…そいつは厄介だな」

「貴様もそれなりな。先程の牙王拳には震えた。ただ忠告しておくぞ。無駄に武技を使い力を減らしてつまらん戦いだけにはしてくれるな」

「〝わかってる!!〟」


 段々とバルデスの戦いの楽しさというものが分かってきてそう言った後、ソリトは構え直した。


「ほう…そうかな!?」


 確かめてみるか?という意味が籠ったような返答してバルデスも構え直した。


 先攻を取ってソリトはバルデス向かって飛び出して右拳を振り放った。

 横に避けられ振り向いた瞬間、バルデスの左拳が右頬を直撃し、前に体勢が崩れた体を左回転させて、バルデスの顔向けて左脚を回し蹴り上げた。


 踏み留まり、ソリトの蹴撃で後ろに引いた右半身を捻って、バルデスが拳撃を放った瞬間、その場で激しい猛攻と反撃を始めた。


 そして、再び大地が激しく揺れ始め、バルデスの拳撃を避けると離れた場所の岩が拳圧で砕け、ソリトの蹴りをバルデスが避ければ同じく岩が蹴りの圧で砕ける。

 更に周囲の岩や大地が崩れ去っていく。

 そんなことを一切気にせずにソリトとバルデスは激闘を続け、互いに体を捻って拳を構え、ソリトが放つとバルデスの拳撃はフェイントで上空に飛び上がっていった。


 それを追って飛び上がったソリトに向けてバルデスが魔力弾を放ってきた。

 ソリトは紙一重の距離で回避して背中へ回り込み、後頭部を狙って拳を振り放つと、バルデスが振り向き顔面に直後した。


 追撃で回し蹴りを出すが、バルデスは回避してソリトの後ろへ回った。直ぐに蹴りを繰り出すがバルデスは後退して、距離を取るとソリトの頭上へ移動し、組んだ両手を叩き落とした。


 後頭部に叩き込まれ、落下していく。

 その時、【危機察知】が反応しソリトは直ぐ様〝流水〟と〝幻歩〟を発動した瞬間、その場に作った残像にバルデスが蹴りを突き落としてきた。


 バルデスの背後へ回り、突きを繰り出すが背後へ回られ、ソリトは逆に重撃を叩き込まれて落とされた。


 体を回転させて着地した瞬間に飛び上がり、降下しながら出してきたバルデスの突きを避け、ソリトは殴り返し地上に落とした。

 地上へ降下して、突っ込むとバルデスは立ち上がり、その場でソリトを待ち構えた。


「うらぁ!」

「はあ!」


 拳が衝突した直後、再び地上で猛攻を叩き込んでいく。

 そして、ソリト達は体と腕を引いて思い切り腹へと打ち込んだ。

 ソリトは嗚咽と吐き気の込み上げる威力に腹を抱えると、バルデスからも同じような嗚咽が聞こえてきた。


 堪らず蹲り、転げ回りながら距離を取った。


「ケホッケホッケホッ……!!はぁはぁはぁ…」

「ガハッガハッガハッ……!!あ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁ…」


 息を整えたソリトはゆっくりと体を起こして立ち上がっていく。同じくしてバルデスも息を整えたのかゆっくりと立ち上がった。


「はぁ…はぁ…はぁ…」

「あ゛ぁ…あ゛ぁ…あ゛ぁ……」


 激戦が収まり、ソリトの荒い呼吸とバルデスの荒く重みある呼吸が空間を支配する。


「…ハハハ…アハハハ!」

「フフフ…フハハハ!」


 その中でソリトは自分の中の奥底から込み上げてきた感覚を吐き出すように突然笑い始めた。

 すると、バルデスがソリトと共に笑い出した。


「どうだソリト、この戦いは。楽しいだろ!!」

「ああ、楽しいぜ。初めてだ、戦いを楽しいと思ったのは。お互いの力をぶつけ合って高め合うこの感覚。お前が伝えたかった戦いの楽しさってのはこれか?」


 ソリトが訊ねると、バルデスは口角を上げた。


「その通りだ……私は嬉しいぞソリト。よく来た、戦士の領域へ………だが、少し遅かったようだ。魔力や精神力はあるだろうが、お互い体力は既にピークを過ぎ去っている」

「まあな。お陰で一撃一撃がパワーダウンしてる」

「こうなると、お互い決着をつける方法は一つ。互いに全ての力を最後の一撃に賭ける事だ」

「へぇ面白いな。受けて立ってやる!」






――――

どうも、翔丸です。


セリフを挟むタイミングは、バルデスのスキル公開はどこで、武技習得のタイミングはどこにするか等、色々悩みながら書いてたら長引きました。


で、まあ武技を習得させた理由としては次回分かりますが、その前にこれだけ格闘戦してるんだから武技習得させないとと思ってやりました、です。


では、私は新作ポケモンアルセウス始めます!


次回『ついに決着!二人の最後の一撃』


ソリト&バルデス「「この攻撃に、全てを賭ける!!」」

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