第42話得たスキルが意外と有能
二本目です。
――――――
【集中】
集中力を増加。(一段階アップ状態)
スキル効果により【集中】から【思考加速】に変化。
【予測】
予測する際、思考能力上昇。(一段階アップ状態)
スキル効果により【予測】から【予見】に変化。
決闘観戦中に獲得したスキルの能力を中央都市に目指して走っている間にタグで見てみたが大したモノではなかった。
【集中】はその名前の通りだ。【予測】にしてもその通りなのだろうが、頭の回転が少し早くなる程度か直感的なものが上がるくらいではないというのがソリトの考えだ。
しかし、新たなスキル獲得には条件を満たす必要があるのは確定だ。そして、それに当たっての練度や魔物討伐ではないかという予測を立てた。
【集中】は何だかんだ言って、戦闘中に集中している時があったので分かる。【予測】もそれに準ずるものだろう。
それが何故今なのか、それは別に良い。
ただ、早く来てほしかったという気持ちはあった。
なぜなら、この二つのスキルよりも【孤高の勇者】でスキルアップしたスキルの方が良い意味で有能な能力だったからだ。
【思考加速】
思考能力を加速させ知覚能力を向上させる。
常時発動(任意発動可能)。
【予見】
予測効果向上。
数秒先の仮定の未来が見える。
常時発動(任意発動可能)。
使うかどうか最初は迷ったが、初回が戦闘で能力をよくわかっていないではリスクがあると思い、まずソリトは【思考加速】スキルを発動してみた。
竜車を引くドーラとその前の御者台で手綱を持つルティアを見てみると何か違和感があった。暫く見ると翼の動きが遅く見えた。
奇妙な感覚だ。
自分の手を動かしてみると、妙に重い感覚がある。思考が加速し知覚能力だけが向上した事で誤差が生じているようだ。
思うように動かせないというのは煩わしさがある。だが、ソリトが本気で動かせばそれも消えるだろう。
デメリットも特にない。慣れるまでの違和感が拭えないがそれも使っていれば馴染む。
更に任意発動出来る。
素晴らしいスキルだった。
一度【思考加速】を閉じ、ソリトは【予見】を発動する。
同時に発動するより片方だけを発動していれば実感しやすいだろうからだ。
仮定の未来とは?と思いつつ発動。
「ん?」
何も変わらない。そう思った直後、今は剣に戻っている聖剣が人化して正面に現れる幻影が見えた。
この幻影が仮定の未来というものだろうか。
仮定ということは可能性である訳で全部を鵜呑みには出来ないが試してみる。
「聖剣、姿を変えるなら前じゃなく隣に座れ」
そう言った次の瞬間、聖剣が白い光に覆われゆらゆらと移動し隣で少女の姿になった。
「マスター何でわかったの?」
「ん?なんだ分からないのか。味覚が失ってた事は知ってたよな」
「あの時はマスターに変化が起きて強制的に半分起きて暫く醒めてたから」
「……なら分かるだろ」
「新しいスキル?」
「そういう事だ」
「でも、そんなスキル知らない」
それはソリトも同じだ。と言ってもどんなスキルがあるのかまでは知らない。
スキルは戦闘系、支援系、技術系、、魔法系、耐性と分けて五つある。耐性を除けばそのどれもが職業名と同一のスキル名だということくらいだ。
どんなスキルがあるのか、その能力は何かを知るのは教会の一部の人間のみらしい。
それでも以前黒大蛇とキメラを討伐して獲得したスキル【夜目】や【威圧】、そして【集中】と【予測】のようなスキルは当てはまらない事は理解できる。
もしくはこういったスキルを秘匿している可能性もある。
これは分かる人間に聞けば良いだろう。
教会所属で、知ることができそうな一部の人物が丁度今御者台で手綱を握っている。
「聖女、一つ聞きたい」
「なんですか?」
「耐性以外で職業名と違うスキルって存在するか?」
「………知りません」
謎の間があったのをソリトは分かっている。気分がまた悪くなっているということもあるがそういう間では無かったし、悪くなっていれば報告して休憩を要求するはずだ。
スキル名を出せばスキルを所持していることを勘繰られるかも知らない。
しかし、獲得する手掛かりになるかもしれない。
協力関係を受け入れるくらいには距離を許してはいるが、信用に入れるかはまだ怪しい所だ。
教会とて国同様に信用が出来ない。
行動の監視とその報告をさせている可能性だってある。
言えない理由があるのかもしれない。
(いやそれこそ何だ。それで行動を自身で制限するのか?)
ソリトは自問する。その時はその時だ。教会が手を出すなら相手にすれば良い。
賢い選択とは言えないが、それで教会に自由を制限されるのは違うのではないだろうか。
ならば、ソリトが取るべき選択は決まっている。
「【夜目】、【集中】そう言ったスキルに覚えはないか?」
「ッ!?何でそれを!」
「知る必要はない……では納得がいかないだろうな。だから俺が聞きたいことに答えるなら俺もお前が聞きたいことを話してやる。単純だが悪くないだろ」
「あるじ様なんのはなしやんよ?」
「お前は引くことに集中してろ」
「ドーラだけ仲間外れはややよー!」
「聖剣、御者台変わってやれ」
聖剣はやれやれといった態度で森のなかに入る前にルティアと御者台を入れ変わった。
御者台から下りてきたルティアはソリトの向かい側に座る。
「それでソリトさんは二つのスキルについて知りたいのですか?」
「いや、この二つについては能力効果は知ってる。俺が聞きたいのはそのスキルが何なのかだ」
ルティアは一旦一息吐いて口を開く。
「ソリトさんの知るスキルは単一系スキルです」
「単一?」
「一般的なスキルとは違い、そのスキル名に特化したスキルです」
更にルティアの説明は続く。
「私達が知るスキル名前に対しての行動において補助のような役割のようなもの。それに対して単一はスキルと効果が直結したスキルです」
「なら耐性も単一か」
「はい。ですが、【夜目】や【集中】といった単一系スキルは魔物だけが所持するスキルです」
その答えにソリトは腑に落ちた。
これも【予見】の効果のお陰でだろうかはともかく、魔物の力も一部がスキルによる恩恵だということだ。
そして、魔物を討伐してスキルを獲得するという考えは間違ってはいない事が証明された。
つまり、黒大蛇とキメラを討伐した際に起きた『同一条件スキル確認――――』で起きた全能力上昇。あれはキメラ達がソリトが既に所持するスキルの中にどう効果が含まれたものがあったのだろう。
キメラの場合は【初級火魔法師】がそれだろう。単一系スキルと考えると【火魔法】というのがあるのかもしれない。
【孤高の勇者】は措置としてその対象に【初級火魔法師】を同一条件と認識したと考えて良い。
「【火魔法】という単一スキルはあるか?」
「………あります」
「けど、そうなると……」
「そうなると?」
「……いや」
そうなると、何故初級で措置されたのかが引っ掛かる。
【火魔法】スキルにも初級などがあるのかもしれない。
だとすると、今後単一系スキルと同じ効果を持つスキルがあれば統合されるのだろうか。
今考えても、これは後々獲得する事で実証していくしかない。
「教会が伏せる理由は?」
問いにルティアは首を横に振る。
「教会がどのようにして知り得たのか、何故伏させるのかまでは私も知りません」
これはソリトの予想通りだった。聖女とはいえ真相まで知る得る権利は流石に持ち得てないのだろう。
聞いたのは念のためである。
「で、お前は何を聞きたい?」
「ソリトさんのスキル……と言いたいですけど」
ルティアは直球に聞いてくると思っていたソリトは、予想外の答えに一瞬困惑した。
「問われたのは教会の秘密事項の一部です。ならスキルの全貌を問い
「良いのか?二度と聞けないぞ」
「だとしても、私は私が信じる道を選びますので」
こういった言葉をルティアが口にする度にソリトは思う。
ぶれない聖女だと。
「俺が前に全魔法を習得出来ると言ったのは覚えてるか?」
「はい」
「それと同じで全スキルを俺は獲得できる」
「へ?」
「以上。御者台に戻れ」
「え?あの……それはどういう」
「俺は尋ねたスキルを持ってるだから知ってるこれ以上は話せない」
【孤高の勇者】の能力の一部の説明など本当にこれくらいで終わるのだ。見解の域が多いスキル獲得条件を話すわけにもいかない。
だからソリトは言ったのだ。〝良いのか?〟と。
「ま、道を間違えない奴などいない」
唯に今ソリトは冤罪など吹っ掛けられ、免罪にしようという状況にあるのだから。
「そうですね。それにいつか話して貰えるくらい信頼を勝ち取れば良いですもんね」
「その自信はいつも何処から出るんだ?」
「私自身の心から」
胸に手を当てて自信満々に言う。
「あ、悪い。今のは独り言だ」
「これじゃ私が独り言に答えないといけないくらい寂しい人じゃないですか!」
「寂しいのか?」
「寂しくないです!」
「マスター、
「予定変更だ。聖女は品のチェックを頼む」
「すみません。本当は除け者にされかけて寂しかったです」
「フッ……聖剣そのまま御者台で監視だ」
「ん。仕方ないから任された」
だが、その前に常にソリトが発動させていた気配感知に引っ掛かった奴らをどうにかする必要があるようだ。
「あるじ様なんか一杯いるやよ」
「分かってる。先に行ってろ」
【気配隠蔽】を発動してから竜車から飛び下り、左右からやって来る魔物達を討伐しに向かった。
―――――
どうも翔丸です。
ざまぁもですけど、【孤高の勇者】のスキル獲得条件についても追求していかないとですね。
え?
そんな事よりもざまぁをしろですか?
今やると話が崩れますので少しずつやりましょう。
噂とか聞いてこうなってるとかで、何とか見逃してぇ〜。
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