第7話 流星閃

『スキル【解体師】獲得』


【伝令】

 対象を決めて十メートル範囲内で思念伝達を可能とする。(一段階アップ状態)

 会話不可

 スキル効果により思念伝達を二十メートルまで範囲拡大する。【伝令】から【念話】に変化。


【念話】

 対象を決めて二十メートル範囲で思念での会話を可能とする。



【初級光魔法師】

 初級の光魔法の詠唱を省略できる。(一段階アップ状態)

 初級の光魔法の威力が一割上昇、範囲拡大する。

 スキル効果により初級の光魔法を無詠唱で発動できる。威力が二割上昇する。


【剣士】

 斬撃二割上昇。(一段階アップ状態)

 物理防御力一割上昇(盾所持時)。(一段階アップ状態)

 武技(剣)習得可能。

 スキル効果により剣による攻撃力三割上昇、盾所持時、物理防御力二割上昇。


【剣豪】

 斬撃四割上昇。(一段階アップ状態)

 剣速上昇。(一段階アップ状態)

 敏捷二割上昇。(一段階アップ状態)

 物理防御力二割上昇(盾所持時)。(一段階アップ状態)

 武技 流星閃りゅうせいせん(一段階アップ状態)

 武技(剣)習得可能。

 スキル効果により斬撃五割上昇、敏捷三割上昇、物理防御力三割上昇(盾所持時)、武技威力二割上昇。


【拳士】

 物理攻撃力三割上昇。(一段階アップ状態)

 敏捷力三割上昇。(一段階アップ状態)

 体力三割上昇。(一段階アップ状態)

 スキル効果により、物理攻撃力、敏捷力、体力が四割上昇。


【解体師】

 解体技能補正6(一段階アップ状態)

 解体時、透視が自動発動する。

 スキル効果により解体技能補正6に上昇、解体した素材の品質を一段向上させる効果を追加。



 素材の回収が終わり、再び山を登って、ソリトは街まで下山する。

 その間、今回獲得した戦士系と技能系スキルを確認した。


 その一つの【解体師】。全て解体し終わった時に獲得したので品質向上の効果を発揮しなかった事に、ソリトは少し残念な気持ちになった。


 しかし、その後に武技を得られた歓喜の方が勝り、ソリトの気分は晴れやかになった。


 武技とは戦士系スキルを持つ者が使う特殊技能の事。戦士系スキルを持つ人間は魔法が使えない。

 その代わりに武技というものを習得できる。

 しかし、魔法適性がある者、もしくは【聖騎士】というスキルを持つ者は武技だけでなく魔法も習得できるらしい。

 ただし、【聖騎士】の場合は光魔法限定で中級魔法までという話。

 

 ちなみに、武技は洗礼時に元から習得している者もいればいない者もいるらしい。

 結局は習得できるようだが、人によって習得できる武技は異なるという。

 そして、武技習得は【孤高の勇者】にはない効果。

 それが既に習得済みがある状態でなのだから嬉しくないわけがなかった。


 早速使ってみたいが、広々としたところで使った方が良いだろう、とソリトは気持ちを抑えて下山していた。

 その時、


「きゃあああああ!」


 何処からか悲鳴が響いた。

 同時にソリトの体が悲鳴の方向に向かって走り出していた。

 自分の意思ではない。気付いたら勝手に駆け出していた。

 大切な人間に〝裏切られ〟信じないと決めていたはずなのに、先程の悲鳴に心揺さぶられるとはソリトも予想外だった。


 もしかすると、まだ何処かで割り切れていない部分があるのかもしれない。もしくは、誰かを助けたいという良心がまだ残っていたのかもしれない。


「くそっ!」


 今はどうでも良い。

 だが、向かっておいて今更見捨てた後日に悲鳴を上げた人物に死なれていたら寝覚めが悪い。

 そう結論を出したソリトは、今度は自分の意思で悲鳴の方向へと駆け出した。


 【気配感知】で周囲を探る。

 すると、三つ気配があり、その一つが残り二つの気配に後ろから追われているような形で動いている。


 姿が見えてきた。

 遠くからで全体は見えないが、白のフードを被った人間をワイバーン二体が追いかけている様子。

 まだ他にも仲間が潜んでいたらしい。

 一応予想はしていた為、驚きは余りなかった。

 それよりも、追われている人物が何故一人なのかの方がソリトは気になっていた。


「丁度良い」


 ソリトは小さく笑い、鞘から聖剣を抜く。

 その時、追われている白フードの人物にワイバーンが襲い掛かろうとしていた。

 それを目視した瞬間、ソリトは聖剣を振り抜いた。


「流星閃!」


 襲い掛かろうとしていたワイバーンに、光の剣閃が放たれた。


「ぐがぁぉ!」


 ワイバーンに命中し、胴体を縦真っ二つに斬り裂いた。


 後方からの突然の攻撃に、残り一体がターゲットを変更して敵意をソリトに転換した。

 突然倒されたワイバーンを見て、追われていた白フードの人間もソリトの方を向いていた。


 狙いが自分に来たことにニヤリとソリトは不敵な笑みを浮かべる。

 重心を少し前に移動させて一歩踏み、強い衝撃音と共にソリトは突撃した。

 ワイバーンは目の前にいた人物の姿が忽然消えたように狼狽えながら急停止して、ソリトを探し始めた。


「え?」


 寝惚けたような声を漏らす白フードの人物。

 さっきまでワイバーンと接近しながら対面していたソリトが突然低い姿勢で隣にいたのだから、その反応は当然と言えよう。


 何をしたのかほんの少し遡ると、ソリトは聖剣を横一閃、縦一閃と十文字に振ってワイバーンを斬ったのだ。

 そして、白フードの人物の隣にソリトが来た直後、ワイバーンの体から十字に鮮血が舞い散り、倒れた。


「チッ、上がらないか」


 聖剣を背中に下げている鞘に納めて、ソリトはチラッと白フードの安全を確認すると、ソリトを見て呆けていた。

 構う事なくワイバーン二体のもとに歩き、ソリトは素材を回収する。


 今度は【解体師】もあり、難なく回収できた。

 スキル効果で淡く光り品質も向上した。

 これは金貨四枚では足りないだろう。更に要求する必要がありそうだ、とソリトは思った。


「あの」


 声を掛けられ顔だけを向けると、先程の白フードの人物が目の前にいた。

 悲鳴で女性だと予想はしていた。その確認もとれた。

 そして、ソリトはそのまま無視してプルトに戻ろうとする。


「無視はしないでくださいね」


 だが、行動を読まれたように言われ、今度は体も白フードの女に向けた。


「やっと見つけました」

 

 そう言って、女は白フードを取った。

 フードから現れたのは紫掛かった灰色の不思議な髪をした少女だった。


「私はステラミラ皇国の聖女、ルティアと申します」

「………誰?」

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