第3話勇者の方針
ブックマーク、感想、ありがとうございます。
今回はスキル説明回のようなものです。でも、ちょっと残酷描写が入ってます。
ワイバーンを討伐した後、ソリトは山の中に留まっていた。
夜も遅いため、下山するのは明日にして今夜は野宿することにした。
ただ、昂っていた精神が落ち着きを取り戻してから、自棄になって動き回った反動か空腹になっていたことに気付いたソリト。
「何にもねぇ」
野宿する為の拠点を探しながら、食べ物を探して山を散策しているが、周辺が暗闇な為に食料と野宿可能な拠点の探索は難航していた。
それから、しばらくしてソリトは魔物と遭遇した。
目を凝らして見たその魔物は狐の魔物だった。
相手もソリトを見つけたのか、突然、狐の姿から裸体を晒した女性に変化した。
そのままソリトにすり寄り、誘惑するように身体を撫で回す。
しかし、
ソリトの機嫌はより一層最悪な方向に進んだ。
底冷えするような目で抱き付いてくる狐の魔物を
狐の魔物が視線を向けた瞬間、ガタガタと怯え出した。
構わず、掴んでいる首に力を加え、メキメキと不吉な音を鳴らしながらソリトは狐の魔物の首の骨を折った。
女体姿の狐の魔物を放り投げると同時に姿が元の姿に戻っていった。
『テンプフォックスを討伐により全能力が上昇します』
『スキル【魅了耐性】獲得』
それから、再び食べ物と拠点を探し始めて十分程して、ようやく赤い果実を見つけた。その近くに少し開けた場所を見つけたソリトは一夜の拠点とした。
地に座り、先程取った赤い果実を一口噛じる。
直後、ソリトは違和感を覚えた。
「……味が、ない」
もう一噛じりする。
しかし、先程と同じくソリトは全く味を感じなかった。
味覚が欠落している。
何の冗談かと思いたくなる状況だが、そう考えるしかないだろう。
仕方なく、そのまま味のしない赤い果実を食べる事にしたソリトは、自身のスキルについて食事をしつつ確認する事にした。
首にかけている文字の刻まれた銀のタグネックレスを手に取り、欲しい情報を浮かべながら魔力を流した。
ソリト
職業 勇者
レベル50
スキル【孤高の勇者】【回復師】【賭博師】【魅了耐性】
魔法 回復魔法
「やっぱりスキルが変化してるんだな」
確認すると不思議な気分となるソリト。
これが夢だったら、などという幻想も湧かない。現実があっさりと証明されてしまえば、そうなるのも仕方のない事だろう。
次にソリトはスキルの能力の確認を行った。
【孤高の勇者】
反転スキル。
全能力が常時倍に上昇する。
敵を倒す度に全能力が成長する。
人間を含む全ての生物特攻常時付与。
スキル、魔法を一段階常時上昇
メンバーが増える度に能力減少。
全スキル習得可
全魔法習得可
スキルや魔法が使えるようになったのはこの【反転】したスキルのお陰らしい。
そしてそのどれもが異常、まさに【反転】。極めれば本当に〝孤高〟の名に相応しい能力なのではないだろうか。
デメリットもデメリットらしくないものだ。もう仲間など作るつもりも認めるつもりもないのだから。
ソリトは他のスキルも見てみることにする。
【回復師】
初級から中級までの回復魔法の詠唱を省略できる。(一段階アップ状態)
スキル効果により初級回復魔法が無詠唱発動可能
【賭博師】
ランダムな確率で発動し賭け事に必勝できる(一段階アップ状態)
戦闘時はランダムな確率で発動し敵に致命傷を与えられる(一段階アップ状態)
スキル効果により五割の確率でスキル効果が発動する。
【魅了耐性】
魅了系の効果の類いのものに対する耐性を付与(一段階アップ状態)
スキル効果により【耐性】から【無効】に変化。
【回復師】、【賭博師】、【魅了耐性】。
所持するスキルであればそのすべてが一段階強化されるようだ。
ソリトは面白いと思った。
【回復師】の効果で無詠唱が初級だけなのは回復系スキルに上級のスキルでがあるからだろう。
【賭博師】はランダムから確率固定されただけではあるが十分に強い。
【魅了耐性】は……いつか役に立つだろう。無効は確かに強いが、立ち位置としては微妙なスキルだ。
ただ、この山の中では同じ魔物に遭遇する可能性がある。役に立つだろう。
ソリトとしては下らない結果で【耐性】を得るなんて癪だったが割り切るしかないと考え、割り切った。
「とりあえず、山を越えて街に着いたら物資を確保して……ゆったり生活できる場所でも探す旅にいや、とりあえず魔王の所を目指すか」
魔王討伐ではなく、魔王の元へ目指す方針に決めた。討つか討たないかはその途中で決めれば良い。最終的には魔王にあってからでも良い。
ゆったりまったりなスローライフも良いかもしれない。
だが、それではせっかくの反転スキルが無駄になる。そも、スローライフをするにしても魔王と配下の魔族が攻め行ってくるならそれどころではない。
敵対してこなければの話だが。
もし討伐となると、成り行きで人間を助けることになるだろう。
ソリトとて全ての人間が裏切るような者ではないことは十分理解している。
しかし、心が、自分自身が、誰かを信じるという事をあり得ないことだと確固たる意思が既に根付いていた。
魔王討伐をするのはどちらでもよくなっていた。
ソリトが今一番したいことは【孤高の勇者】、自身のスキルを極める事だった。
ならば、尚のこと魔王の元へ目指すべきだ。
「よし」
ソリトは一つ気合いを入れて。
「寝る」
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