43.謎のダイヤモンド
クウとフェナは、一定の距離を保ちながら
クウは発光体の一つに顔を近づけ、その正体を確かめた。
「これ……石だね。
「クウ、"ガガランダ鉱山"は宝石の
「それは残念。
「私も反対ね。──どこぞのウルゼキア王にぶつけられた大岩を思い出しそうで、嫌よ」
「よし分かった……
会話を繰り返しながら進んだクウとフェナの前に、突如──
黄金と宝石に満ちた──
クウ達が道中で見たものと同様、全ての宝石からは目が
「
「これ見よがしに開いたままの、あの宝箱の
黄金に満ちた空間の中央に、ドワーフ達が
「おお、やっと来たかお二人さん。──ようこそ。ドワーフ族が技術の
近付いてきた二人に向かって、ロフストが両手を広げた。
「先祖代々、何世紀にも渡って作り上げた地下王国だ。どこぞの賢者の話では、"イルトの三大聖地"に数えられているらしいぜ。ここに来た時だけは、俺達も"ガガランダ鉱山"じゃなく、"ガガランダ王国"と呼ぶことにしてんだ。──それでどうだい、驚いてくれたか?」
「もちろん驚きましたよ。この素晴らしい光景と──湖に飛び込んだら瞬間移動するという、謎の現象にね」
「アレについては、俺もよく知らねえんだよ。一説には、この土地を守護してる火の精霊──"
「"
「そうだ。ある程度の見当はついてる。──だが、ここから先の様子がどうなってるかは、俺達にも分からねえ。それでも、来てくれるか?」
「ええ。行きましょう」
クウは"
通路の奥を抜けると、クウにとってまたしても予想だにしない光景が飛び込んできた。
「"
"
「くっ──!」
クウは剣を構え、現れた半透明な刀身を"
「────!」
「……何だ? ──みんな、ちょっと待って!」
クウは
"
体勢を低くした"
「うわあ、大きなダイヤだなあ。……きっと売れば、一生遊んで暮らせる
「クウ、よく見て。あの宝石……」
"
「光が、とても強いわ。きっとあの宝石が──"
「"
「あり得ない話じゃない──と言いたい所だけれど、そんな話は聞いた事がないわね。私にとっても未知よ」
クウとフェナの会話の最中も、"
クウが注意深く"
「この"
「ロフストさん。この
「こっちが聞きてえぐれえだ。しかし、何か変な感覚だな……。この"
ロフストの言葉に、後ろのドワーフ達がざわざわと話し出す。
「──なあ、ロフスト」
「あん? 何だよ」
ロフストの真後ろにいたドワーフが、ロフストに話しかける。
「あの"
「そう言われりゃあ……そうなのか?」
その会話を聞いたクウが──"
「ねえ、"
"
「うっ──!」
クウの手から、強烈な赤い光が発生した。生じた光を"
クウの身体が──虫食い状態になり、部分的に消え始めた。そして、何と"
「なっ、クウ──!」
フェナが素早く、"
クウと"
◆◆
"ガガランダ鉱山"の巨大な大穴の
「さてさて……"ガガランダ鉱山"の
何者かの、
騎士達が経つ場所の中心には、巨大な車輪付きの玉座が"停車"している。そこに
大男は中世の貴族が着るような高級感
「むうん……この穴の下かなあ……。ドワーフ達が、武装して向かった場所っていうのはさあ。──ねえ。君は、どう思う?」
「はっ、私でありますか──?」
肥満体の男に指名された騎士の一人が、瞬時に姿勢を正す。
「これは、"赤の領域"に先行して来ていた騎士の一人が、偶然に目撃した情報であります。その者によれば──"
「その騎士の情報を考えると、向かった場所はここしか考えられないって事なのお?」
「はっ、
「そうなんだねえ。ふうん。それじゃあ、信じるよお」
ケペルム──と呼ばれた肥満体の男は、玉座の上で不気味に笑った。
「それにしても、"赤の領域"には"シェスパー"が先に遊びに来てたんだよねえ? あいつの姿が無いのが、どうも気になるなあ。──同じ"十三魔将"として、心配しちゃうよねえ」
「はっ、それについてですが……信じ
「なあに? 聞かせてよお」
「その……"舞踊千刃シェスパー"様は、
「ええ?」
ケペルムは驚いた声を上げたが、その実、あまり動揺していないように見えた。
「シェスパー様のご遺体を確認した配下の騎士達は混乱し、
「ゴーバを倒したのと同じ奴、かも知れないんだねえ?」
黒い騎士が、無言で
「ふうん──面白いねえ。ちょっと、会ってみたくなっちゃったなあ、そいつに」
ケペルムは玉座から立ち上がると、のそのそと歩いて大穴の近くに移動する。
「もし今ボクがそいつを倒せばあ、"赤の領域"はボクの物になったも同然だよねえ。それに、あの二人を倒した奴の首を差し出せば、"あのお方"も、ボクをお認め下さるかも知れないぞお」
「け、ケペルム様──例の"人間"共を、追われるおつもりで?」
「君達は無理に来なくていいよお、別に。ボクが戻るまでに、そうだなあ……
「え、ええ。それはもう──きっと面白いに違いありません。へへへ……」
「でしょお? ──まあボクは、とりあえずこっちに行って来るからさあ。また後でねえ」
ケペルムはそう言うと、口元だけで笑い──
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