22.ジョンラス王への謁見
「──さあ、こっちだ」
宮殿に通されたクウとフェナは、白銀の
騎士は不意に立ち止まると、客間と思わしき一室の扉を開け、二人を中に
意外に広い空間である。部屋の中央には
「ここで、少し待っていてくれよ」
騎士はそれだけ言うと、すぐに退室して行ってしまった。
クウとフェナは、それぞれ椅子に腰掛ける。
「こういうお城って、本来こんなに
「僕も、こういう所は初めてだよ。──でも、あまり新鮮な光景じゃあ無いかな。ゲームにとかに出て来る宮殿と
「げえむ?」
「あ、いや……。気にしないで」
クウがそう言った時、部屋の扉から何者かが現れた。
多数の
「あら──」
上品な手つきで口元に手を
「市民達に
女性は自然な動きでクウとの
「失礼──
女性がクウの髪を
続いて女性は、クウの顔の各所と、肩や腕、腹部にまで手を
「見た目は、私達ノームとさして変わらないように見えますわね。でも触ってみると、
「──そろそろ、
「あら、ごめんあそばせ」
女性はクウから一歩離れ、顔を
「申し遅れましたわ。
クウは椅子から立ち上がり、姿勢を正す。
「あなたが、セラシア王女。──本当に
「あら。お上手ですのね」
ドレスの女性──王女セラシアは、まんざらでもないといった様子である。二人を見つめるフェナの表情が、
「あなたが、"ホス・ゴートス"を開放し──"十三魔将"を打ち倒したんですの?」
「……いえ、それは僕じゃありません」
クウは、ばつの悪そうな表情で首を横に
「それをやったのは、僕の他のもう一人の"人間"と、そこの彼女──フェナです。僕はその場にいただけで、
「クウったら、素直に言えばいいのに。私達が力を合わせて"紫雷のゴーバ"を倒したのは、事実じゃない。──あなたの力も含めてね」
フェナは椅子の
「王女さん。──"私のクウ"は、自分を正当に評価出来ない
「あら、そうなんですの? ──彼は、クウさんと
セラシアがクウに向き直る。
「ホス・ゴートスに
セラシアは、クウの左腕をじっと見ている。
「
クウがセラシアの視線に気付いた。クウの緑の"輪"──"
「このウルゼキアは、"白の領域"ですわね。"輪"を持つ魔術師を見た経験は初めてではありませんけど、それでも
「セラシア王女は──"輪"の
「出来ますわよ。正確に言えば、感知出来るのは魔法を宿したモノ全ての気配、ですわ。私自身は"輪"を持ってはいませんけど、魔術師としての
「ウルゼキア王様も、"輪"を持っているんですか?」
「──あら、この発言は余計でしたわね。私とした事が、大変失礼
セラシアはそこで、不意に
「たった今、ジョンラス王がお戻りになられましたわ。クウさん。そして──フェナさんでしたわね。私と玉座においで下さいませ。お話ししたい事がありますの」
「えっ。ここから、部屋の外の様子も分かるんですか?」
「
セラシアはクウに笑いかけると、部屋の扉を開けた。
「どうぞ。玉座はこちらの方向ですわ」
「あ、はい」
クウはすたすたと歩くセラシアの後を付いて行く。歩きづらそうな見た目のドレスに反して、セラシアの足取りは軽やかである。
「──ねえ、王女さん」
「はい、何ですの?」
クウの後ろを歩くフェナが、セラシアに声をかける。
「その……少しだけ、外に出てもいいかしら」
「あら、どうかなさいまして? ──あっ、そういう事ですのね。ごめんあそばせ」
セラシアは何かを
「フェナ──? え、ちょっ──
「あら、いけませんわよクウさん。こういう時、
セラシアは何事も無かったかの様に歩き出す。クウはそれに
大きな渡り廊下を抜けた先、開けた大広間の様な場所にクウは
男性の外見は、人間で言う所の40代半ば程度に見えた。王冠だけでなく、指輪や首飾りなど全身に多くの
セラシアは姿勢を低くして胸元に片手を
「セラシアが参りました。お父様」
「──私の事は"ジョンラス王"と呼ぶように。そう、申し付けた
「……失礼
セラシアはクウにしか見えない角度で、とても
「この
「聞き
ジョンラス王の
「ウルゼキアの王として、そしてノーム族の代表としてそなたを
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます