23.逃走劇
「えっと……
クウは
「そう硬くならずとも
ジョンラス王の言葉に、クウはゆっくりと顔を上げる。
「
「それは、話せば長くなるんですが……。あっ──そう言えば」
クウは腰の袋から──ソウに渡されたゴーバの角を取り出し、ジョンラス王に見せた。
「それは──もしや"
「はい。戦いの最中で切り落とした、"
「──セラシア王女」
ジョンラス王に呼ばれ、セラシアがぺこりと一礼してクウに手を伸ばす。クウは角をそっとセラシアに渡した。
まるで
「間違いありませんわ、お父──ジョンラス王。この
「そうか。──
ジョンラス王は目を見開き、じっとクウの全身を観察し始めた。
「そなたの
「これは、エルフの賢者様に
「賢者ウィルノデルか。──やはり、そうか。ふん」
ジョンラス王は何かに満足した様子で、ゆっくりと
「エルフの
「ジョンラス王──賢者様をご存じでいらっしゃいますですか? あっ」
「知っておる。先代の王──我が父上がご
ジョンラス王は昔を
「私が王となったすぐ後、賢者ウィルノデルはエルフ族の代表者としての地位を
「賢者様に、そんな過去が……」
クウはウィルノデルの顔と一緒に──ナリアの顔も思い出していた。
「そなたの持つ"
ジョンラス王が、口元だけで笑った。
「ジョンラス王。僕は賢者様に、"ウルゼキアに力を貸してみる気はないか"と言われて、この国に来たんです。賢者様は、ウルゼキアのノームは悪魔達と
「──無い。悪魔族の攻勢が強まって以降、我らノームもエルフ共も、それどころでは無くなってしまったからな。今の私の
「そうですか……」
クウは腰の"朧剣"に軽く触れる。ウィルノデルはどんな気持ちでこれを
「だが、
「えっ──」
「む……そなたは知らぬのだな? ──先代のウルゼキア王は、"黒の領域"より放たれた
クウはそこで、何とも言えぬ──嫌な予感を感じた。
「その者の
クウはそこで、背後に覚えのある気配を感じ、振り返る。
フェナが──少し遠くからこちらに近づいて来ていた。
「あら、もう
フェナは両手を腹部の前で組み、
ジョンラス王は玉座から立ち上がると──
「──貴様のその顔を──ただの
「えっ……?」
「よくも再び、余の前に現れたものよ!」
ジョンラス王は、右腕をフェナに
「我が父上の──
ジョンラス王の腕から──白い光が激しく
「"
突如、広間の地面が砕けた。
割れた地面から生じた巨大な
「くっ──!」
フェナは
体勢を整えたフェナは、横目でクウを見る。クウもフェナの視線に気付き──フェナに近寄って、彼女の片手を
「ジョンラス王! 何を──」
クウがそう言いかけた
「うわっ! くっ──!」
クウは瞬時に"輪"を発動し、フェナと
クウはフェナと共に真横に飛び、
広範囲に
「はあっ、はあっ……。うっ……!」
「フェナ──?」
クウが、荒い
フェナの左脚から──激しい出血が生じていた。
「フェナ──! くそっ、とにかく──逃げないと!」
クウはフェナを
「逃がさんぞ!」
ジョンラス王は手を真上に
「──お父様!」
その声に、ジョンラス王が硬直した。
「どうか、お気を確かに! このままでは──皆が巻き込まれてしまいますわ!」
いつの間にかジョンラス王の
ジョンラス王は深く息を
白い光を帯びた"輪"は輝きを失い、
「む……!」
ジョンラス王が、見通しの良くなった広間の奥を見る。
先の衝撃によるものか、宮殿の壁に穴が空いていた。二人程度なら、
土煙が完全に晴れた
「──その穴から外に出た二人組を、
ジョンラス王の威圧的な声に、その場にいた騎士全員が
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