06.騎士団の襲撃
「クウ! いやあっ! クウ!」
ナリアが地面の上で
「うるせえぞ、
ナリアは気を失い、ぐったりと脱力して動かなくなる。
「へっ、エルフ
「ん? ああ──へへっ」
倒れているクウに騎兵の一人が近付く。騎兵は剣をゆっくり
「
騎兵達が、声を
「楽しそうじゃねえか。俺も混ぜてくれよ──マヌケ共」
騎兵達の真上、木の枝の上。縞模様のフードを被って、皮鎧を着た何者かが、騎兵達を見下ろしていた。
騎兵達が
騎兵達は互いの顔を見合わせ、抜刀していなかった者は全員剣を抜いた。騎兵達は
「誰だてめえは!?」
騎兵の一人が
「正義の味方──とは言わねえが、お前らの敵さ」
暗闇の中、何もない空間から声だけが聞こえた。
騎兵の一人が、不意に倒れた。首元からは、
また、青色の光が流れる様な
倒れた仲間を見て、更に他の騎兵達が反応する。エルフ達を各所で捕えていた、遠くの騎兵達もこちらに向かって来た。
「ちっ。
フードの男は暗闇の中から一瞬だけ姿を現し、地面に倒れているクウを
「さて、ひとまず隠れてやり過ごすか。──しかし、驚いたぜ。あの"輪"の持ち主が、お前みたいな奴とは予想してなかったからな」
フードの男は、クウの肩を優しく揺さぶる。クウが意識を取り戻した。
「まだ、寝てるな。──よお、大丈夫かい?」
「うっ……」
クウは目を開け、フードの男を怪しげな目で見る。
「血は出てるが、頭の傷はそんなに深くねえよ。──おっと、足元には気をつけな。今ちょっと不安定な場所にいるからな」
「え、あんた誰? ……足元? うわっ」
クウは自分が樹上にいる事に気付き、体勢を崩しそうになる。フードの男が肩を支え、落下は
「このまま俺と一緒にじっとしてろよ。連中、今にてめえらの根城まで引き上げるだろうからな」
フードの男がそう言った通り、騎兵達は
「あのフードの野郎には構うんじゃねえ! ──"
捕らえたエルフ達を
クウは、騎兵の一人を見て声を上げそうになる。馬に
「ナリア──!」
クウが
騎兵達は去った後、目の前には燃える村だけが広がっていた。
「乗り手はマヌケだが、馬は優秀だな。──なあ、知ってるか? 馬って
「まずい、ナリアが連れて行かれた! ──ねえ、あんたはやつらの行き先を知ってるの!?」
「ああ、知ってるぜ。──
「落ち着いてなんかいられない! あいつらは何処に行ったの!?」
「そんなに知りてえなら教えてやるよ。あのマヌケ共の行き先は──
フードの男はそう言うと、クウの目の前に手を
「"
フードの男の手から、紫色の光が放たれた。男が指で宙に円形の模様を描くと、光は指の動きに重なり──黒い
フードの男がクウを引き連れてその空間を通ると、木の上にいた
「これは……"輪"?」
「ああ、俺の能力だ。──光栄に思ってくれよ。別に能力を秘密にしてる訳じゃねえけど、人目に触れる様な使い方は滅多にしねえからな」
フードの男は歩きながら、村全体を見渡している。クウも男を追って歩き出す。
「
「あっちに井戸水があるんだ。ありったけを
「ああ、そうだな。だがもう一つ方法があるぜ」
走り出そうとしたクウを制し、フードの男は燃えている家屋の一つ──炎が発生している地点に手を
「"
男の手から──青色の光が生じる。渦巻く光と共に青い液体が炎に向かって放たれたかと思うと、液体は即座に氷へと変化し、一瞬で白く
氷を
クウはその様子を、立ち止まってまじまじと見つめていた。
「そっちはそっちで、水を片っ端からブッ掛けろ。火がデカくなって手に負えなくなったら、俺が根元から凍らせてやるよ。──それが終わったら、ゆっくり話をしようぜ」
そう言うと男は、
男の素顔は、クウと同年代と思わしき若い顔をしていた。目の上には深い刀傷の様なものがあり、フードはこれを隠す為だったのかとクウは推理する。
男の頭髪は──短い黒髪だった。
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