Break Time②

「戦後最悪な事件といっても……」

「あぁ、死者は約五十人。負傷者は千人以上だといわれている。あの日は、東京で爆発が止まない一日だった」

「これまでエンジェルの人格形成、及び事件の経緯をまとめましたが警部はどう思いますか?」

「そうだな、荒巻くん。君はどう思う?」

「自分はエンジェルが虚言癖をもつのではないかと思うんです。というのも、実績がないんですよね。エンジェルは、高校時代に頂点にたったなんて言っていますが、そんなことありますかね? しかも名前すら名乗らないんですよ? まぁ、時間が経てば分かることですが、嘘ばかりの母親に育てられたな人間。そう思います。」


 階級が高そうな男が部屋に入ってきた。


「失礼いたします、警部。Aは洗いざらい供述を吐いてから口を閉ざしていたのですが、何かを思い出したかのようにを呼べと言っています。そして、どうやらそのという人物が警部だと言っているんですよね……」


「そうか。私は、Aと対面してくる。君は待ちたまえ」

「ほら、言ったじゃないですか! 警部の名前は浅川浩也。石川……?やっぱり虚言癖があると見て間違いないようですよ」


時が流れる。

女刑事が部屋に入ってきた。


「失礼します。警部はどちらに?」

「さっき、エンジェル……いやAのもとに行きましたよ」

「それはまずいですね……」

 女は、スマートフォンをポケットから出し、電話をかけた。緊急のようだった。

「何かあったんですか?」

「いや、Aことエンジェルが正しいことを言っているのか調査を行ったのですが、いろいろな追加情報が確認できました」

「とりあえず、自分に教えていただけないでしょうか? 申し遅れました。私は警部の助手をしている荒巻雄大というものです」

「分かりました。まず彼の高校時代ですが、Aが供述で述べた『涼子』という女性の身元がわかりました」

「ああ……高校時代に付き合っていたとかいう」

「それが違うんですよ、確かにエンジェルと面識はあったようなのですが、付き合っていたのは数ヶ月でそこから関わりはなかったようです。そして、その涼子という女性……本名は浅川涼子。浅川警部の妻にあたる人物だったのです」

「……え?」

「それで気になって、警部のことを調べてみたんです」

「何かわかったんですか?」

「浅川警部は旧姓が石川でした。石川浩也……エンジェルが高校時代に仲良かった人物と同一の人物です」

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