第7話 人間の王

 新宿の街中にある複数の大型ヴィジョンには、毎日数多くの広告が流れている。しかし、その日は終日「注意喚起」や「避難指示」の文字が表示された。


「えー、速報です。都心の多くで爆破テロを確認。いまだ、都内の複数箇所で爆発が確認されている状態です。あ、情報が入りました……」


 日本中が、まさに地獄だった。


「終焉の中で、安堵するもの達よ。これが、新世界だ。そして、私……エンジェルは神の使いとして、人間の王になったのだ」


 Aは幸せを感じていた。日本中のニュースに「エンジェル真理教団」の名前が映った。彼に後悔はなかった。



 その後、Aと数人の幹部達は捕まった。連続爆破テロの罪が大きかったが、他に教団内で行われた犯罪も執行の対象となった。

 エンジェルと思われる人物は、自分の本名を名乗らなかった。その為、警察組織はエンジェルのことを「A」と称し、事件の経緯をまとめることから始めた。

 こうして、事件は幕を閉じた。


 Aは自分が物語の主人公だと確信している。

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