第5話 Control
それから数年の月日が経ち、Aは大学最後の年を迎える。
「おはよう、涼子」
「おはよう……今日も大学行かなくても良いの?」
「あぁ、いいんだよ」
「就職先だって、決まってないんでしょ? 私、二人分の生活費を払うなんて無理だからね」
「俺には涼子が居るから良いんだよ」
撫でる。
「またそうやって。優しくしていれば良いってわけじゃないからね。あ、今日、記念日でイタリアンのお店予約してるの忘れないでね!」
「大丈夫、大丈夫」
そして夜。
「は? 店予約できてないじゃん」
「ごめん。いろいろ手違いがあったみたいで……他のお店でも大丈夫?」
「ムカつくな、いろいろ。」
口論。のち、暴力。
「もうやめて……あんただって、昼間は他の女と遊んでて何もしていないんでしょ!?」
「はぁ?」
暴力、暴力、暴力。痣、暴力。
「最低、もう無理……」
暴力、優しさ。そして、安堵
「俺、お前が居ないと無理なんだ」
口付け。支配の感覚。
「あのー、すいませーん。ここら辺でカップルが大声で喧嘩しているって通報が入って……大丈夫ですか?」
「すいません、もう解決したんで大丈夫です。ご迷惑おかけしてしまい申し訳ありません。」
「あれれ、お姉さん、痣できてません? 大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
会話。
「いやー、まあね。事実はどうであれ、本人たちがこう言って解決すれば我々としてはなんの問題もないので大丈夫です。どうもご協力ありがとうございました」
警察が去る。Aは夜の冷たさの中、星を見た。
「事実はどうであれね……、警官ってのも悪くない職業だな」
Aは、人を操る快感を知った。
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