「アンドロイドはただ人間の夢を見るか」について

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054917568328

 ↑先に本編をお読みください!


 第二回こむら川小説大賞、二本目の投稿作です。

 一本目の「擬態女」を書き終えたあたりからモニョモニョと考え始めたのですが、「擬態女」の投稿がすでに最終日の零時過ぎ、翌日はパートナー氏とデートの約束があったのですが、隙間を見てなんとか書きあげて投稿したRTA(この言葉はじめて知りました。用法まちがってそう)です。

 これはメモ書きすらもなく完全に一発書きなので覚えてることを書いていきます。


●着想〜筋立てについて


「擬態女」を書き終え、他の投稿作を少し読んでみて思ったのは「擬態女は圧倒的にエモ不足」でした。ちょっとテクニカルに寄りすぎたな、と反省。

 もともと純文学的なアプローチが好きだったはずなのに、一発かますことに意識を取られすぎていたので、もう少しエモい話を書きたいな、と。


 時間がないなかでエモい話を書くとすると、自分の感情をベースにするのが早そうです。

 わたしはアンドロイドキャラ(「2001年宇宙の旅」HAL9000とか、「エイリアン:コヴェナント」デイヴィッドとか)にめちゃくちゃ感情移入するタイプなので、アンドロイドの話にしました。アンドロイドと人間って見た目同じだし「擬態」も回収しやすそう。

 アンドロイドキャラに感情移入するので、エモを乗せるのはアンドロイド側になります。そこに擬態要素を乗せると、メインキャラが「人間に擬態しているアンドロイド」もしくは「アンドロイドに擬態している人間」になります。


 アンドロイドに共感してしまうのは、「人間は理屈通ってないし愚かで意味わからん!」的な、人間の不文律への不適合と怒りみたいなポイントです。未診断ですがASDの傾向があるので、定型発達的な、「明文化されていないけどみんなそれを受けて入れている」みたいなものがわからないし憎いんですね。

 そうすると、「人間の文化がわからないし憎んでいる人間がアンドロイドですって言ったらめっちゃ楽になった」という感情が、自分でも共感できて書きやすそうです。怒りの話ですね。


 ただこれではオチがつかないので、人間への怒りを増幅させて、殺しちゃいましょう。実際のわたしはアンドロイドになってないし苦しんでいるので、「アンドロイドになって楽になった!」では全然納得できません。

 まあもともと想定しているのがHALやデイヴィッド、あとはレプリカント(「ブレードランナー」)などなので、人間を殺すのは必然とも言えます。


 ここでもう一度どんでん返しをいれてしまったのは、単に擬態女を書いていた時の発想を引きずっていたからだと思います。これは後付けですが、キミの言っていることは一件理屈が通っているようで微妙に破綻しているので、それをアンドロイドのバグにすると都合が良かったのもあります。拝読した味付きゾンビさんの「手の触れる距離」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054904247740)でコンピュータから出力したようなフォーマットがかっこよかったのでやりたかった、っていうのもあると思います。


●作中のロジックについて


 アンドロイド暴走のロジック、これわりと整合性取れてるな……と自分では思っているのですが、どうして思いついたか全く記憶にありません……。

 キミが「自分は人間だがアンドロイドに擬態している」という間違った記憶を持つアンドロイドである、という結果を導くために必然的にこうなった……くらいだと思います、たぶん。

 まあ、アンドロイドができたら人間に近づけようとするだろうし、人間に近づけるなら人間の感情のロジックをなるべく真似るよな……人間の特徴は感情と、参照データの不確実性だよな……みたいな。誤学習についてはこの辺の記事(https://wired.jp/2016/03/25/tay-tweet-microsoft/)の印象とかがありました。

 そのぐらいのぼんやりさでああいうアウトプットになるのは、単純にわたしの脳のつくりがアンドロイド的……だからでしょうか。このへんはほぼ手癖という感じでよくわかりません。

 SF映画好きですが、自分で書いたのははじめてなので、この辺の改善点とか、有識者の方にご指摘いただけたらうれしいです。


●反省点


 エモにしようとしたのにまたどんでん返しにしてお前は! ですね。こういうわかりやすい面白さは面白いけど逃げですよ。もっと伝える一点の輪郭を明確にして、誰か一人の心を撃ち抜きたい……立ち上がれなくさせたい……そういう攻撃力の高い物語を全然書けてないんだと思います。

 お前の心を抉り出す! くらいの強い意志で持って、自分の心から血を流して書いていく必要があります。これがRTAしてしまった最大の反省点ですね。やはり短時間では書けることに限りがありました(単におれの技量不足)。


 あとタイトルはもちろん「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のいただきですが、すみませんわたし映画しか見てなくて。電気羊ってなんだ? って思って調べたり、やっぱり別のタイトルにしようか考えたんですが、これも時間内に良いタイトルが思いつかずこのままになってしまいました。

 展開的にはブレードランナーも意識しているので大間違いってことはない気がするのですが、「電気羊」と「ただ、人間」というのが置換可能な要素であったかは未だ不明です。近いうちにちゃんと読もうと思います。


●いただいた講評について


 こちらも褒めていただいて、うれしい〜なんてやさしい川なんでしょう。

「キミってそういうことだったのね!」と謎の有袋類さんがおっしゃってますが、正直キミの名前はあんまり意味がないです、すみませんw

 オオタ様はキミが「キミ」って名乗ったので名前だと認識してキミ(キにアクセント)って呼んでますが、前の持ち主が「君」呼ばわりしてました。


 謎のストクリスさんにご指摘いただいた

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 前作『擬態女』にも通じるところですが、「擬態」というテーマから「普通の人のように振舞うのは難しい」を抽出し、

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 これは自分では全然意識してませんでした。確かに二作とも共通したアプローチになっていましたね。こちらは意図的ですが、やはり時間がない中でテーマ化しやすいのが、自分自身の感じていることになってしまうのですね。普通の人のように振る舞うのは難しいです。というかいまだにできてないです。人間社会こわいよ。


 謎のイヌ亜科さんがおっしゃった

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 主人公の「人間こそが不文律に感情を支配されている」という独白がこの作品の重要なポイントだと感じました。保守的な人間は自分たちを優位だと考えるが、実際は人間が不自由を自由だと思い込んでいる、という部分なのですが、この「思い込み」の部分が終盤のオチにかかってくるわけか……。

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 これに関しては数日前Twitterでバズってた「なるほどそういうことにしておこう」という感じですw

 正直そこまで考えられてなかったんですけど、そんなかっこいいダブルミーニングぽく読んでもらえたのは嬉しいのでそういうことにしておきます! そうです!

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