第28話 結婚、町で盛大な祝福
ヒカルとベルナデッタの突然の婚約発表の話は、貴族だけではなく、町中に大きな衝撃を与えた。ヒカルが町を歩くと、結婚おめでとうと多くの人達に祝福される。ゲームで有名人となっていたレインの店のスタッフであるヒカルと貴族グレンヴィル家のベルナデッタの驚きの身分差カップル誕生に、町中が盛大なお祭りムードとなっていた。
「結婚おめでとう。これからはヒカル様って呼んだ方がいいのかしら」
いつもどおり、レインの店のホールスタッフとして、料理を運んでいたら常連の女性客に言われた。
「やめてくださいよ。今までどおり、ヒカルでいいですから」
「そういえば二人は、もう一緒に住んでいるの?」
「いえ、まだ一緒には住んでいません。ベルの荷物を俺の屋敷に持っていく作業があるので、来週くらいには一緒に住めると思います」
「そうなのね。新婚生活、楽しみね」
「そうですね」
それからもレインの店に来る客達に、次から次へと祝福の言葉をもらったヒカルだった。
「なぁ、皆。ヒカルとベルナデッタ様の結婚を祝って、パーティーを開かないか?」
そう提案したのは、マリオだった。ヒカルとベルナデッタの結婚式は、今後行うだろうが、それには貴族や関係者しか出席できない。町にはヒカルとベルナデッタを祝いたい人で溢れている。だからこそ、結婚式とは別に祝う祝いの席を用意してみてはどうかという提案だった。その提案を聞いたケインは、ボーリング場を一日貸し切って会場にするという方法で話をつけた。
「これで町の人達もヒカルさん達の結婚をお祝いできるわね。さあ、私は料理を頑張らなくちゃ」
レインもやる気満々だった。
そうして数日の準備期間が経った後、あっという間にボーリング会場が祝いの席へと変わっていった。
そして平民によるヒカルとベルナデッタの結婚祝いの席が設けられた。
「ヒカルー!おめでとう!」
「ベルナデッタ様みたいな美人と結婚できてお前が羨ましいぞ!」
「また面白いゲームを教えてくれよー!!」
「ベルナデッタ様、今日も綺麗!!」
「ベルナデッタ様ー、お幸せにー!!」
レインさんの店の常連客達を中心に、二人は盛大な祝福を受けた。
「いやー、それにしても多くの人が集まったな。これもヒカル、お前さんの人としての魅力の賜物だな」
マリオは、集まった町の人達の多さに感心していた。
「ありがとうございます。俺もまさか、こんなに多くの人に集まってもらって祝福されるとは思ってもみませんでした」
それから美味い料理を食べながら、盛大に結婚を祝う平民達との時間は過ぎていった。途中でボーリングをやったりとゲームも交えながら、終始楽しい席となった。
ヒカル自身は結婚したという実感があまりなかったが、この席で改めて自分が結婚したという事を自覚した。
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