第17話 表彰式2

小学6年生以下の級の発表が終わり、いよいよ僕の級の発表が始まる。

「ベスト賞は8名です」


一気に人数が減る。

中学生以上の級は、入賞率がグンと下がり厳しさを増す。

全国大会に行ける人数も減っているから、来られただけでも御の字だけど…。


僕の名前は呼ばれず、安心するような、このまま呼ばれなければ何も入賞していない可能性もある。

このレベルだ。入賞漏れの可能性ももちろんある。


「銅賞は4名です」

呼ばれない

「銀賞は2名です」

…呼ばれない


嬉しいような、でも次で呼ばれなければ、何も入賞がないことになる。

僕は膝の上でぎゅっと手を握りしめた。

どうか…!次!僕の名前を…!


「金賞は1名です


12番 如月 タオさん

おめでとうございます。表彰台までいらしてください」


呼ばれた…


足が震える。

大きな拍手を受けながら、僕はヨタヨタと表彰台に向かった。


せ…先生…

指導者がいる一角を見るけど、ここからははるか先生が見つけられない。


表彰台に立ち、金賞の僕から表彰状を受け取る。そして大きなトロフィーも。


正面を見るように促され、指導者の一角を見ると、はるか先生の顔が見えた。

横にいる保木先生と腕を繋ぎながら喜んでいるように見える。

笑顔を向けると、そこじゃないよ、とはるか先生に指をさされた。


受賞者の写真撮影なのに、はるか先生ばかり探していた。


銀賞、銅賞、そして審査委員長と一緒に写真に映る。


ああ、こんなことより、はるか先生の顔が早く見たい!

でもカメラマンは、もう1枚、もう1枚と合図をしてくる。


ようやく写真撮影から解放され、先生の方を見て手を振る。

笑顔で手を振り返す先生。


まだ信じられない。

僕がこのコンクールで金賞だなんて…。

とれても、小学生の間だけだと思ってた。

やった!やったんだ!!

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