第10話 <黒の雪>
「これが、王となった少年の末路」
「少年は強さを求めて王になり、自由になる<夢>を奪われた、と」
この子は危険な存在だと。
この子はいずれ一族を滅ぼす存在になりうると。
アッシュはこれからも私達の一族を探し出して、迫害し続けるだろう。
翼希にしてもそうだ。
いつまでも永遠に、同じ運命の輪を繰り返すだけだとは思えない。
天使となった翼希は
……恐らく気付いていない。
だからこんな顔をして笑っていられるのだ。
自分は舞台の演出家であり脚本家だと思い込んでいる。
そんな事はあるはずはないのに。
この筋書きを描いている人物が他にいる。
それはいったい誰の差し金なのか。
その理由は
知りようがなかった。
―――
夢。
私は夢を見ていた。
ふわふわと浮かんだ中に様々な<夢>の欠片が浮いている。
死んでしまった幼馴染を生き返らせてと願う少女の<夢>。
遠くに行ってしまった幼馴染を取り戻してと願う少年の<夢>
王になれますようにと願う少年の<夢>。
孤児院を永遠に続けられますようにと願う少女の<夢>。
そして……。
私が天使だったら良いのにと願う少女の<夢>。
私が天使だったら良いのにと願う少女。
この<夢>はなんだろう。
<夢>の欠片を覗いてみてもその少女には見覚えが無かった。
……私はこの<夢>を知らない。
この<夢>は……、誰の<夢>?
分からない。
分からないけれど、どこか懐かしさを覚える。
「それはあなたの<夢>だよ」
どこからともなく声が聞こえた。
頭の中に直接声が響いている。
「始めようか。始まりの物語を」
「やめて!!」
嫌な予感がした。
だから私は声を上げて制止する。
声を張り上げ頭の中の声をかき消そうとする。
「やめてって言ってるでしょ!!!」
けれど響くのは薄ら暗い笑い声だけ。
「聞きたくない!!」
叫びにも似た私の声にも構わず、一つの物語の幕が上がる。
「これは、
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