第5話 <小さな星>
カラン、コロン。
小気味のいい音が部屋に響き渡る。
部屋は薄暗く、辺り一面に星を模したインテリアが煌めいている。
なかなかコクのある良い味に仕上がったなと思う。
少年を助けたい少女の願い。
少女を取り戻したい少年の願い。
その二人の<夢>は、共にずっと二人傍で歩いていくという<夢>。
こんなに純粋な<夢>はなかなか無い代物だ。
この星の欠片は私の願いの為に大切に使わせてもらおう。
そして……今後もじっくりといただいていこう……永遠に。
「翼希、歩……あなた達の<夢>はとっても美味しいものだったよ……」
「……相変わらず悪趣味ね、
いつのまにかドアの影には魔法使い然としたいで立ちの女性が一人立っていた。
「あなたは二人の人間を終わらない日々に閉じ込めて、罪悪感は無いのかしら?」
「……それがあの二人の望んだことなのだから、しょうがないと思うのだけど?」
少女は少年を助けたくて、<夢>を捨て願い。
少年は少女を取り戻したくて、<夢>を捨て願う。
すごく簡単な引き算だ。
「……まぁ良いわ。今更あなたのやり方に口を挟む気はないから」
「……それで、今日は何の用かな……
「それよりもあなた、私のシマで営業しないでもらえるかしら」
やれやれ面倒くさいなと思いながらも
「あの少年は
言いながら、一つの星の欠片を指さしそう告げる。
「それに。こんな極上の<夢>なんて、そうそう出会えるものではないの」
可愛らしい憂いを帯びた表情とは裏腹にクスクスと薄気味の悪い笑みを
それなのに自分の願いを叶えるために他人の<夢>を踏みにじる
他人の<夢>を糧にしてまで
それは
「さぁ、始めようか。
クスクスと笑いつつ、
「それは……いつか王と呼ばれる存在になる少年の物語」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます