第4話

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8/23 ご指摘いただき、食事の件で整合性が合わない表記、記述がありましたので変更しております。申し訳ございませんでした。


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 俺とミリの朝の騒ぎは幼馴染同士のワチャワチャしたじゃれ合いってことで落ち着いたようだ。ミリの陽キャ友だちが上手いこと収めたみたいだった。




 下校時は俺一人。紗月は生徒会の書記をやっているので今日はそっちに行かなければならないんだって落ち込んでいた。可愛らしい。ミリはバイトがあるので、直ぐ行ってしまった。七時頃まで帰ってこない。


 一人とぼとぼ歩きながら、ミリがどうしてあそこまでショックを受けていたのか考えてみる。


 性の話題が苦手? イヤ、うちの両親がいるときにそんな話をしていたけどゲラゲラ笑って聞いていたな。うちの両親は性についてオープンなんで他人ひとの娘に何を言っているんだかとは思うところは、俺の方にこそある。


 紗月のことが苦手? ミリの陽キャグループと紗月の真面目系(?)グループとは頻繁な交流こそ無くても普通に接していたはず。う~ん、なさそう。


 俺が悪い? ばか死ね言われたし、今朝も教室では目も合わせてくれなかったから俺が原因だろうな……でも何かやっちまったのか分かんないんだよなぁ~




 帰宅後は何時ものようにランニングに出かける。昨日の公園も回ったけど今日はクズ野郎共はいないようだ。まあ、しょっちゅうあんなのがいたら問題になるけどな。


 考え事しながら走ったせいか余計な距離を稼いでしまったようだ。汗だくになり帰宅し、先ずシャワーを浴びる。


 身体を拭いている最中にインターホンが鳴った。エントランスの方ではなくうちの玄関のほうがなったようなのでミリが帰ってきたのかも知れない。


 短パンだけ履いて、タオルを肩に引っ掛けたまま玄関扉を開ける。


「あれ、紗月。どうしたの」


「裸で待っていてくれるなんて健人もせっかちさんですね」


 顔合わせていきなり言うことじゃないでしょ~童貞をころs……ああ、もう違ったわ。


 OK! 落ち着こう。からかわれただけだ。


「冗談はさておき、ホントどうしたの?」


「健人に夕飯をご用意してきたのですが迷惑でしょうか?」


「え、ホント! やった、嬉しいよっ」

 嬉しすぎて舞い上がり、紗月を抱きしめてキスをしてしまったくらいだ。


「もう、だめですよ♪」


「あ、そういえば……」この後ミリが来るんだった。


忘れていた。忘れてはいけないことを忘れさせる作用が紗月にはあるのかも知れない。……なんてことはなくて単純に俺が初めてできた『彼女』に舞い上がっているだけなんだろう。


「どうしたのですか?」


「いや、今夜ミリがうちに来る予定なんだよ。今朝のことでちゃんと話さないとだめかなと思ってさ」


四月一日わたぬきさんと話すのに私がいるとだめでしょうか? 私たちのことを話すのですよね」


そうか。俺たちのことを話すのだから紗月がいても構わないというか、逆に齟齬そごが生じなくて良いのかも知れない。


残念だけど夕食は後でだな。紗月持ってきた保温袋のようなものはキッチンに置いてきた


 ・.。*☆彡・.。*☆彡・.。*☆彡・.。*☆彡・.。*☆彡



 八時ちょっと前にインターホンが鳴った。今度こそミリが来たようだ。


 玄関扉を開けると、ミリがちっちゃくなってモジモジと立っていた。


「ゴメンな。バイトで疲れているだろうに来てもらっちゃて。さ、入って」


 コクンと頷き、ミリはうちに上がってくるので奥に行ってもらう。そのままリビングの扉を開くと急にガバっと振り返り帰ろうとする。


「待って! 待ってください。四月一日さん、お話させてください」


 どうもミリは紗月がいることに驚き帰ろうとしたようだ。紗月が帰ろうとするミリを留める。


 ミリは紗月の方を振り向き、紗月の前に座る。


「どうしてあんたがここにいるのさ」


「私、健人の彼女ですからいてもおかしくないですよね? 今日はお夕飯を持って来ました」


「健ちゃんの食事はうちが用意することになっているんだから勝手なことしないで!」


「え~でも、そのお食事って、四月一日さんではなく、四月一日さんのお母様がご用意していらっしゃるんですよね」


 ミリのお母さんの手間が減るのだから『彼女』が御飯作っても問題ないではないかと紗月は畳み込む。


「…………なんだよ……何だよ」

 ミリは俯き涙を流し始めてしまった。


 突如始まった言い争いに俺はただオロオロしていただけだった。


「ごめんなさい。四月一日さん」


 紗月は先程までの強い語気ではなく、優しい諭すような口調で謝罪の言葉をかける。


「四月一日さん、いえ、美里さん。あなた、健人さんのことが好きなんでしょ?」

 へ? え? なに? 俺がどうしたって?


 ミリは俯いていた顔を上げ、紗月を睨み返した。


「そうだよっ、ウチはずっと健ちゃんのことが好きだったんだよ! なのにあんたが突然やって来て健ちゃんを奪っていったんだ!」


 怒号を上げて衝撃の告白をするミリ。唖然としてお口開けっぱな俺。なぜかにこやかな紗月。


 カオス……



「美里さん。ではあなたはどうしたいのですか? 好きだって言っても告白も何もしていないでしょ? 私はちゃんと告白しましたし、初めても全部健人に捧げましたよ」


「わ、私だって健ちゃんに好きだって告白するし、私の全部をあげるもん」

 涙でぐちゃぐちゃな顔を俺に向けてくるミリ。



 ちょちょちょっとまっt……



「健ちゃん。ううん。住澤健人くん。私四月一日美里はあなたのことがずっと好きでした。子供の頃からずっとずっと好きでした。あなたをただ諦めるなんてできません。あなたに受け取って欲しいです」


 ……へ?


 恋人の目の前で、その恋人が煽ることで幼馴染の女の子に告白されるって何のイベント?


 あれ?


 紗月さん何でにっこにこ……

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