#003 少年と虎


 早朝。俺たちは武装して「ルホン山」の鉱山跡の入口に立っていた。


 隣には大剣を携えたアルファ。

 薄茶色のマントを羽織って、トカゲ顔の額にはホコリ避けのゴーグルを装備している。

 その横にはジノ。

 肩に矢筒と弓をぶら下げて、両手の手の甲の部分には小さなサークルシールド。軽装で動きやすそうだ。

 そしてリサ。

 長く固そうな杖を片手で持って、それ以外は私服だ。薄紫のピタッとしたローブを身に纏っている。


「さて、諸君。いよいよ素材狩りを始める訳だが、認識を共有しておこう」リサが口を開く。

「まずジノ。君は何度もこの辺りで素材狩りしてるな、坑道内のナビは君に任せる」

「オッケーである」

「次いでアルファ。今回の目的は、ストーンタイガーのレアドロップ、『タイガーファング』の入手だ。君の鼻で、上手く標的だけを探してくれ」

「まかしとけっ!」


「そしてエビ丸」

「おう!」

「君は何もするな」


 ………………。


「いや、なんでだ!」

 朝一のツッコミを大気に放つ。


「そもそも……。今回は君の武器アイスダストの修理のためのクエストだ。どうしてもと言うから連れてきたが、武器もないのに君に何ができるんだ? おまけに知恵もなく、力もなく、愛想もなく、ふてぶてしさは有り余り……」

「ちょっと待てえっ!」

「とにかく! 絶対にわたしたちから離れるな。押さない、かけない、しゃべらない、もどらない」

「避難訓練か」



 そんなこんなで坑道を進む。

 本来、中は真っ暗なはずだが、リサの頭上に光るマジックアイテム、「常日の珠」のおかげで辺りは煌々と照らされている。

 魔力を送ることで輝く、ダンジョン探索などには必須のアイテムだ。


 長い1本道を進むと、やがて大きなホールに出た。

 常日の珠から放たれる光がホールの壁面を照らし、壁がところどころキラキラと輝いている。

「ここいらのキラキラした壁、あれはクズ石の結晶が光を反射しているのだ。キレイだが、しょせんはクズ石なので見向きもされない」ジノが解説口調で言う。

「金とかミスリルとかはぶっちゃけもう採り尽くされた。採掘目的でここを訪れる鉱夫はもういない。今では、体力がついてきてモンスター相手に暴れたい町の少年たちの遊び場だな」

「ふうん。そんなとこなら、今回の目標のストーンタイガーも大したことなさそうだな」俺は言う。

「いや」

 ジノは言葉を切って続ける。

「この坑道にも何匹か強いモンスターがいる。気は抜くなよ」



「匂いはこっちに続いてるっぽいな。ジノ。この先はどんな地形だ?」

 アルファが鼻をひくひくさせて前方を見つめる。

「三叉路だ。ストーンタイガーがいるとするなら右の道だろう」

「オッケー」

 アルファの嗅覚に加えてジノのナビ。お互いを補完しながら坑道を進んでいく。

「ん? なんだ?」アルファが足を止める。

「どうした?」リサは立ち止まり、問いかける。

「人間の匂いがする。何人かいるな。1人じゃない」

「どの道だ?」

「右の道だ。村の子どもたちが知らずに迷い込んだとすれば、ちょっとマズいんじゃないか?」

「急ごう」

 俺たちは駆け出した。


 三叉路を抜け、中規模のホールに出ると、子どもと青年がモンスターに囲まれていた。

 しかもそれはストーンタイガー!

 すでに何匹か倒れているが、2人を囲むストーンタイガーの数は多い。

 少年を庇うようにオノを片手で構えた青年は緊迫した顔でこちらを向き、俺たちに気付いた。


「うおりゃあああっ!」

 いきなりアルファが突撃する。肩に背負った大剣を抜き払い、横一線!

 2匹のストーンタイガーが切り裂かれて地に転がった。

 次いでジノ! 見本のような弓のクイックショットで的確に敵を打ち抜いていく。

「終わりだ」リサが呟く。

 リサが杖を掲げると、虚空に炎の散弾が浮かび上がる。

「フレアダンス!」


 ゴオアアアァっ!!!


 灼熱の炎が躍る。

 焼け跡には幾匹ものストーンタイガーが倒れていた。

「つ、強い……!」俺の口から思わず言葉が漏れる。



「助かった。森の魔女様たちだな。礼を言わせてほしい」オノを携えた短髪の青年がそう言って頭を下げた。

 だがもう1人の少年は斜めを向いてツバを吐く。茶色い髪に生意気そうな顔をしている。

「礼なんかいうな、シュン! あんなの、オレたちなら楽勝だった」

 日本刀を腰に戻した少年がイキがる。少年は見たとこ俺より少し上くらいだ。なのに青年にタメ口で話している。

 嘆かわしい、近頃の子どもは礼儀も知らんのか。

「オリヴィエ。わたしたちは助けられた。礼を言うのは当然のことだ」

「けっ!」

 ガキの茶番だ。

 俺はスルーして、倒れたストーンタイガーの死体を漁る。

 敵は息絶えたらしく、淡い虹色の光を放って消滅していく。

 光の消えた先、俺は1本の牙が落ちているのを見つけた。


「おい、ヒゲ。これじゃないか、タイガーファングって」

 灰色の大きな牙をジノに見せる。

「ああ、間違いない。手間取るかと思ったが、子どもたちのおかげで簡単に見つかったな。リサくん。牙は1本でよろしいか?」

「問題ない。少し歯応えがなかったが、よし、帰るか」


「待てよ」

 立ち去ろうとした俺たちに声がかかる。

「それはオレたちの戦利品だ。返せ」

 オリヴィエと呼ばれていた少年が手のひらを差し出す。

 俺はその手を引っ叩いた。

「バカかてめえは。助けてもらっといてさらに乞食か! バーカバーカ」

「んだとお! 大体オレは助けてくれなんて言ってない。さらに言えば、お前何もしてないだろ!」

「ああそうだよ。お前なんか、俺が助けるまでもないくらいの雑魚モンスターに囲まれておしっこちびりしてプルプル震えてたじゃねーか」

 言い返した俺の手をオリヴィエが叩いて牙を奪う。

「上等だテメエ、祈りの言葉は浮かんでるか!」俺言う。


「エビ丸。お前なんでそんなにキレてるんだ?」

「オリヴィエ。恩を受けて恩を返すのは当然だ。牙は諦めるんだ」

 それぞれの保護者が俺たちを諫める。


 俺たちは言い合っていたが、そこに珍しく真顔のジノが割って入る。

「少年」

「なんだよ、エルフのおっさん」

 相変わらず失礼な言い方だが、ジノは顔色を変えない。

「君はイヌやネコを殴るのか?」

「は? なんだよいきなり。そんなことする訳ねーだろ」

「じゃあ、なぜ戦う必要のないストーンタイガーと戦っていた? ジノたちにはどうしても彼らが落とすレアアイテムが必要だった。そして、それは命を狩る行為だ」

「だって、敵はモンス……」

 バチンっ!

 乾いた音がホールに響いた。

 あっけにとられた顔をしたオリヴィエはジノを睨むが、ジノもまた睨み返していた。

「エルフの子どもがまず最初に教えられるのは、命への感謝だ。エルフは森と共に生きている。だからエルフは無駄な狩りをしない。例え相手がモンスターであってもだ」

「うるせえ! オレはエルフじゃねえ!」

「話をすり替えるな! 力試しをするのは構わない。それは子どもにとって『必要な狩り』だ。だがお前は、力を誇示するために戦っていたな。そして窮地に陥り、仲間を危険にさらした。お前とシュンくんとやらがどんな関係かは知らんが、あのまま戦っていたら、シュンくんはお前を庇って死んでいたかもしれないんだぞ!」

「く、う、うるせえんだよ、ヒゲエルフ」

 叫び返したオリヴィエは涙目だ。

 そのまま背を向けて駆け出して行った。


 シュンがジノを見る。

「ジノさん。温かい言葉に感謝する。あの子には後で、わたしからも言い聞かせておく。ロズデイル家に仕える身として約束しよう。今回の件はいい薬になると思う」

 なんとなく、しんみりした空気だ。

 命への感謝。確かにな。普段掴みどころのないジノの真面目な言葉。

 俺も自分に言われたものとして胸に刻み付ける。

 だがそこに。


「なあ、良い話の途中で悪いんだが」

「なんだ、アルファ?」

「あの子、タイガーファング持ったまま行っちまったぞ」


 ………………。

 …………。

 ……。


 時が止まる。

「ふざけんなーーー!!!」

 俺はマッハで走り出した。

「待てっ、エビ丸!」

「うおおおおおーーー」

 マジふざけんな。そいつは我が家伝来の短剣を直すのに必要なんだぞ。いい話でしっとりして誤魔化そうとしても無駄だ。

 絶対返してもらう。



 ぶっちゃけ俺の足は速い。子どもにしてはだが。しかし、俺と張り合うくらいオリヴィエの足も速かった。

 視界の先に、細穴に向かって駆け込んでいくオリヴィエの後姿。

 絶対に逃がさんぞ。

 俺は猛ダッシュで細穴を抜け、ホールに出た。

 そこに……。


「な、な、なんだよ、こいつ」

 オリヴィエが震えながら立っていた。

 その先に、巨大なモンスターが立ち塞がる。体長は5メートルを超えている。ストーンタイガーのボスっぽい。

「くっ、こいつは、タイガーフェイクファー……」

 オリヴィエが呟く。

 灰白色の肌は強靭な筋肉に血管が浮き上がっていて、ストーンタイガーにはない立派なたてがみを持つ口から唾液をまき散らしている。

「あばばばば」俺は放心状態だ。

 オリヴィエも辛うじて刀を構えるが、全然姿勢が定まっていない。

 蛇に睨まれた蛙。


「おい、ガキ」

「な、なんだ?」俺はこわばる口で答える。

「一撃目は、オレが絶対に食い止める。だからオレが合図したら、全力で逃げろ」

「バカかお前、死ぬぞ」

「死なねえよ。オレは、オレは! 腐ってもロズデイルの男! オリヴィエ・ロズデイルだ!」

「いや、フルネーム名乗っても意味分かんないんだけど!」

「うるせえ、来るぞ!」


「グオオワアーーー!」

 金玉が縮みあがるほどの咆哮。

 タイガーフェイクファーが、助走をとり突進してきた。

「行け、ガキ!」

 俺は言われるままに駆けだした。

 細穴に向かって全力疾走する。

 死ぬ、死ぬ、マジで死ぬ。って言うか、あいつも死んじゃう!


 その瞬間。

 向かっていた細穴から一陣の風が走り起こった。


「エアスライサー!」

 シュンが飛び出してきた。

 オノに風の魔力を纏い、全力斬り!

 牙を剥きだして、今まさにオリヴィエをかみ砕こうとしたタイガーフェイクファーの顔を叩き切る。


 敵は下がり、次の瞬間、後ろ脚を強烈に蹴り上げ、チャージ攻撃してきた。

「グオオワアーーー!」

 衝撃に、目が眩む。



 土煙が上がっている。

 い、痛てえ。どうなったんだ?

 霞む景色を見つめる。

「おい、オリヴィエ!」

 ウソだろ、オリヴィエは壁にぶち当たってぐったりしている。

 そして、胸当てをしたシュンの身体に、タイガーフェイクファーの爪が突き刺さっていた。

「い、生きてるか、ガキ」

 オリヴィエの呟きが聞こえる。

「情けないけど、身体が動かねえ。頼む、シュンを助けてくれ。あいつ、オレを庇って。死んじまう!」


 声を聞いた瞬間、俺の頭はクリアだった。

 拳に、足に、力が漲るのが分かる。


「オリヴィエ! 獲物をよこせ!」

 オリヴィエは血の滴る右腕を掲げて、俺に叫ぶ。

「火のシクスティーナ、名を『散花』。癪に障るがてめえに貸してやる。受け取れ!」

 唸りを上げて日本刀、散花が投げ渡される。


 俺は剣に向かいながら叫ぶ。

「おああああぁ!」

 投擲の射線に飛び込む。

 柄を掴んだ、と思ったその時。

 ザクっ。

「おぎゃあああーーー!」

 掴んだのは、なんと日本刀の刃の部分だった。

「何やってんだテメエは!」当然のツッコミが来る。

「バカ野郎! ハサミだって抜身で渡す時は刃を手前にして渡すだろ。お前こそどういう教育受けてきたんだ!」

「言っとる場合か!」

 ああ、なんだよもう、超痛い。

 仕切り直して、俺はタイガーフェイクファーに向き直る。

「おい、虎の長よ。てめえが爪でぶっさしてるそいつ、俺には何の関係もないが、成りゆきで助けさせてもらう。このエピ、目の前で死にそうなやつを見捨てるほど薄情な男ではないんでね」


 右手が痛いので、左手に血に濡れた日本刀を構え、魔力を込める。

 散花の刀身に、炎が浮かび上がる。

「くらえ!」

 得意の二段突きを繰り出す。

 タイガーフェイクファーは一瞬棒立ちになったが、肉球であっさりと受け、その手を薙ぎ払った。

「おぼえええぇ」

「お前、なんなんだよっ!」

 失礼なツッコミを聞く。だが今の一連の攻防で、シュンは解放され、岩場の影に身を投げ出していた。

 くっそ。頭がくらくらする。

 でも、少なくとも、オリヴィエとシュンは、何とかなりそうだ。


 タイガーフェイクファーが、ゆっくりと俺に近づいてくる。

「なあ、オリヴィエ」

「あ、ああ?」

「今なら、お前とシュン、逃げれるんじゃないか?」

 俺はタイガーフェイクファーの一撃で反対側の壁にぶっ飛ばされていて、その俺に向かって敵が歩いてくる。

「行けよ、オリヴィエ。お前、さっき俺を庇ったろう。シュンを連れてさっさと行け! 貸し借りは無しだ」

「だけどお前……」

「そうだよ、無茶苦茶怖いよ、逃げれるなら俺が逃げたいよ。だけどよお、3人死ぬくらいなら、1人死んでも2人生き残れよ」

 俺は散花を取り落とし、目をつぶった。

 嗚呼、死にたくねえなあ。リサ、ゴメン。せっかくあの時助けてもらったのに、俺、死んじゃうみたいだ。

 ほんの数日だったけど、リサと、みんなと過ごせて、嬉しかった。

 このまま死んだら、父さんたちに会えるかなあ?


 目を閉じたまま、リサがくれたペンダントを握りしめる。

「グオオ、グオ、グオオ!」

 うっすら瞼を開けると、目の前にはタイガーフェイクファーの顔。

 その瞳から、涙が溢れていた。

「お前も、悲しかったな。仲間殺しちゃってごめんな。カタキ、そりゃ、討つよなあ……。はははっ。死ぬの、やっぱ怖えな……」

「グオオ!」

 タイガーフェイクファーの牙が迫る。

 その瞬間! 身体に温かな風と光。亡き母に抱かれているような、そんな錯覚を覚える。

 バチン!

 その光が、敵の牙を弾いた。

 そして同時に……。


「エビ丸ーーー! そこか、べノンメテオストライクっ!」

 人ひとり通れるかといった細道から爆炎が吹き荒ぶ。その炎は岩盤を砕き、タイガーフェイクファーの横腹で炸裂した。

「みんな無事か! おおお、吠えろ、ライトニングアサルト!」

 アルファの大剣がバチバチと帯電する。

 グワンっ!

 踏み込みからの偃月斬り。帯電した大剣の一撃で敵が「スタン」する。


 そして。


 ジノが駆けてくる。弓使いのジノが、間合いも気にせずに駆けてくる。

「ジノ!」

「はあああぁ……、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ア!」

 はあぁ!? 盾で、殴ったあ!?

 ジノはタイガーフェイクファーを、両手に装備した小盾でボッコボコにしている。

「キャイン、キャイン、キャイン」

 タイガーフェイクファーが逃げて行く。

 ジノは両手の拳を打ち鳴らし、タイガーフェイクファーの後姿を見送っていた。



「生命のララだったな」

「キキだ」リサがツッコむ。

「ちなみにキキララはキキが弟だ」

「じゃあ何でララキキじゃないんだろうな?」

「それは知らん。弟ファーストなんだろうな」

「なるほど」


 シュンの回復が行われている。

 ジノの小盾、「エロスの双盾」はスキルが回復らしく、胸当てを外したシュンに盾をかざすとみるみる傷が塞がっていく。

「ジノ、さん。ありがとうございました。オレ、勘違いしてました。あのモンスター、そこのガキに噛みつこうとした時、泣いてた……」

 ジノはシュンの傷口に目を伏せたまま答える。

「モンスターにも色々いるんだ。臆病なやつ。人を餌として食うやつ。そして縄張りと家族を守ろうとするやつ。タイガーフェイクファーは、見た目は獰猛だが、その瞳には知性がある。エルフの子どもは、森を駆け、そう言った様々なモンスターの特性を知り、成長していく」

「…………」

「しっかりしろ、ロズデイル候の息子!」


「あ?」俺はその言葉を聞き返す。

「ブリジット公国・辺境伯、ロズデイル候。その息子がアイーシャの村に逗留していると聞いている。そうだろう、オリヴィエくんとやら」

「はい」

 さっきはとっさで分からなかった。だが俺も酒場のオヤジから、砦の衛兵からその名を聞いていた。こいつが、ロズデイルの若様だったのか。

「すぐにでも、強くなりたかった。父上のお役に立てるような、強い男に……」オリヴィエは涙を流して、横たわるシュンの手を握っていた。



「おい、ガキ」

「誰がガキだ、ガキ」

 ルホン山の斜面を下りながら、オリヴィエが俺に話しかける。

「お前はバカだ。オレよりガキのくせして、オレたちを逃がそうとしたり、とにかくバカだ。そのバカで勇敢な男の名前を、改めて聞かせてくれ」

「俺の名はエピ。バカで勇敢なのはお前も一緒だ、オリヴィエ・ロズデイル」

「日を改めて、砦に遊びに来い。そして、オレも、お前ん家、行っていいか?」

「おお、来い。シュンと一緒に遊びに来い」

 俺の言葉にシュンが笑った。

「わたしはオリヴィエの盾。オリヴィエの行くところには、わたしも行かねばならないでしょう。ねえ?」

 西陽の射す山肌を下りながら、オリヴィエも笑う。

「エピ。オレたちは今日から友だちだ」

 向かいから吹く南風に、ほんのりと海の匂いが混じる。

 思えば長い探索は終わった。


 俺たちはコロンとアオイの待つ我が家へと歩を進めた。

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