第三十九回 十三日の木曜日。


 ……金曜日ではないの。


 でも、アイスホッケーみたいなお面。

 でも、チェーンソーは持っていない。


 体も、小柄……

 手も、しなやかで、


 その正体を、僕はもう知っているの。



 何しろここは、僕のお家の玄関先で、


 くどいようだけれど、十三日の今日とは限らずに……

 いつも迎えに来てくれる。そして、お面を外すと……


 現れる満面な笑顔。またはよく笑う人なの。


「わかっちゃった?」

 と、その人は言う。


 笑顔の中にも、その人の表情はある。


「わかるよ、特徴ありありだから。

 第一、そんなジェイソンはいないよ」

 と、僕は言う。


 そして正体を明かすなら、その人は令子れいこ先生なの。

 もう察しの通りだよね。



 するとママがね、令子先生に言うの。


葉月はづきもよく笑うようになって……

 本当にいつもありがとうございます。それにしても映画にお詳しいのですね。『十三日の金曜日』って、七十年代の映画ですのに……映画はお好きなんですか?」


「はい。映画はよく観ますね。ホームシアターがあるもので」と、和やかな会話だ。



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