第53話 VRホラー開始
そうかには左右に二つずつ扉がある。部屋番号のプレートは三百台から始まっている。
「とにかく、今どこに要るのかを探ろう」
「見取り図か自分達の居る場所が分かる様なものを探すのじゃな」
「せめて端っこなら窓から逃げれるのにね」
外を見れる窓は透明な可能性がある。確証は無いけどね。
僕等が来た道の道中やエントランス付近の窓は外が見えていたのを覚えている。
「流石にあんな事があった後だし、バラバラに探索したくはないよね」
「ないないっ! 絶対に離れぬのじゃ」
珠音が言うと怨霊に取り憑かれている感じがするから、止めてほしいんだけど。
「こういう場所でバラバラになるなんて、死亡フラグだからね。絶対ダメだよ⁉」
あまり探索に時間を掛けたくないだけなのだが、ファレナちゃんが物凄い形相で羽交い絞めにでもする勢いで、詰め寄って語る方が僕にとっては怖いです。
「わかったから、落ち着いて」
「ほんとう! 絶対だからね」
ギュッと僕の右腕に抱き着いて、離れないと主張する感じでピッタリと張り付いてきた。
とりあえず、321号室から324号室の扉を其々に【聞き耳】でダイスを振ってみる。
321号室は、物音のしない静かな部屋。
322号室は、全員が判定に失敗して不明。
323号室は、微かに物音が響いている。何かが一定のリズムでぶつかっている音だという、僕以外が成功したので、自分は聞こえていない。
324号室は、生き物の様なカサカサと何かが動き回る音が聞こたとファレナちゃんのみが、聞き耳判定を成功させた。
全ての部屋には鍵は掛かっていない事は確認済みだ。
「一番安全そうな321号室から調べよう」
「賛成じゃな」
ファレナちゃんはコクコクと頷くだけだった。
多分、最後に調べた部屋の音を聞いた時にかなり怖かったのだろう、顔色は真っ青で抱き着いている腕に更に力が入っている感じになっている。
ドアノブをゆっくり回して、僕が一番に中を覗いてみる。
「特に、なにもないね」
薄暗い室内で、窓一つ無い部屋だった。
「あ、灯りは点かないの?」
「ん~、燭台はあるけど……」
廊下にあるモノを見つめるが、僕の背では届かない。
ファレナちゃんの身長でも届かないし、どうしたものか。
「童が取ってやろう」
すると急に珠音からダイスが転がり落ちていく。
【幸運】という判定でダイスが振られたようだった。
《13》という数字が出て判定は成功と出る。
フワッと浮いていき、珠音が手を伸ばすと燭台が持ち上がった。
「なんで、外れるんだ」
「ポロっという感じで取れたのじゃ」
「まぁ、何にしても灯りが手に入ったのは、良い事じゃない」
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