第52話 VRホラー開始
「という事で、さっさと出口を探そうか」
全てを話し終えてスッキリしたところで、これ以上は此処に留まらない様にしないと。
この屋敷が本当に話したホラーの内容と似ているモノだとしたら、僕等が一か所のに留まっているのは得策じゃない。
「そんな話を聞かされて、すぐに行動するって無理じゃない⁉」
「なんじゃそのやり切った様な清々しい笑顔は、こっちは怖さが倍増しとるんじゃぞ」
「僕はこの屋敷の変な構造に気付いて、思い当たった時点で物凄く怖かったんですよ。皆にも同じ気持ちを味わって欲しっかっただけですよ」
珠音とファレナちゃんが抱き合って、ガクガクと震えてこっちを指さして文句を言ってくるけど、それらを一切無視して、どっちに進もうかを考える。
出口は三つ、一つは後ろにあるセーブ部屋なので残りは二つだけ。
通り抜けられそうな曇りガラスの窓と、扉が一つ。
戻って来たばかりで、いきなり構造が変わってるせいもあって入って来た入り口の方向が全く分からない状態だ。天井にも扉があるけど、アレは入れないから除外。
室内に脚立も無いし、ロープだってないからね。
少しでも見覚えがある部屋や廊下に出れれば、入り口の方角は分かるかもしれない。
「どっちから出る?」
「どっちって、扉から出るんじゃないの?」
「窓ガラスから出るつもりか、道など……ある訳が……あったのう」
何の警戒もなく珠音が窓を開けてしまう。
その先には廊下が見えたけど、黒く蠢く蔭がカサカサ――っと動き回っている。
急に全員のダイスが床を這うように転がっていく。
正気度判定。
他の二人はというと、
==
ファレナ《68》失敗、判定失敗により正気度が1減少します。
黒い影を間近で見てしまった珠音は固まったままで、なにも出来ずその場にペタンと転がって、ピクピクと震えている様子だった。
ファレナもまた同じで小さく悲鳴を上げて、尻餅をついてしまっている。
僕は慌てて窓へ寄って、勢いよく閉めて留め金を下ろす。
「はぁはぁ、あぁ~、鳥肌立った」
「す、すまない。あんなものがおるなんて思わなかったんじゃ」
「ああいうのは駄目だよ~、怖いとかよりも、気持ち悪いってば~」
冷えたように震える体を温める為か、二人が僕にすり寄って来た。
「あの、歩きにくいんだけど」
「良いではないか、早う行くぞ。こんな屋敷はさっさと脱出するのじゃ」
「そうそう、もうこういうのは要らないの! 早く抜け出そう」
今度は皆で注意しながら聞き耳などをして安全を確認してから、扉を開いて先を除く。
「こっちは大丈夫みたいだよ」
「廊下になっとるのう」
「この廊下も見た事ないよね、本当に何処に来たんだろうね」
洋風な廊下で豪華な装飾が飾られている。
燭台には火が灯っていて道は明るいから、安心して出れる。
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