第50話 VRホラー開始
「やっぱり薄暗くって怖いよね」
扉を開いてきた道を確認するように廊下を除くファレナちゃんは、珠音を抱きしめて己の怖さを抑えているようだった。
珠音もまたファレナちゃんに抱かれてるせいか、落ち着いている表情だ。
「それよりも、会えたのだから後は出て行くだけじゃろう?」
「来た道は帰れないと思うんだけど」
「二人は玄関から入って来たんだよね?」
セーブ部屋だし、安全な部屋だと思う。
だからゆっくりとお話しながら、出口を探していこう。
「うん、エントランスから入って、見回っているうちに階段の所でファレナちゃんにあったんだよ。あの家具が山積みになってる階段でね」
「私は知らない場所から急に始まったからな~、この屋敷の中庭だったと思うけど。全然分からないだよ。体も先輩に動かされたせいで屋敷内のどこを移動してきたかとかも、滅茶苦茶過ぎて覚えてないし」
「上の階にはどうやって上がったのじゃ?」
僕らは鍵を手に入れて、上の階に上がったてきたけど。すぐにあの部屋には入れなくなってしまったから、僕等のルートでは降りられない。
しばらく考えていたファレナちゃんだったけど、首を横に振ってしょんぼりとしている。
「全然思い出せないよ~。怖くて逃げるのに必死だったから」
「怖くて……逃げる?」
「そういえばお主はと会った時にも、何かから逃げている様子だったのう」
あのエントランスであったっときは焦っていた様子ぐらいだったし、僕等は無いも見ていないからね、ファレナちゃんが何かを見た可能性は高い。
それに始まりが小人達が注意していた《中庭》だ。
確実に何か居るのっていうのは確かだと思うけど。
「正体なんて分かんないよ~。追ってくる様な足音とか、部屋を調べる時に鍵穴を覗いたら、黒い影が動き回ってるのを見かけたぐらいだし」
その時の事を鮮明に思い出したのか、顔色を青くしてガクガクと震えている。
「覗いたの……勇気あるね」
「勝手に覗かされたの⁉ 奈々先輩が勝手に私のキャラを動かしてさ」
恐怖よりも怒りの方が強いのか、さっきまで怯えていた様子もなく。頬を膨らませてプリプリと両手をバタつかせて怒っている。
「しかしファレナが二階に上がって来たという事は、何処かから一回に降りられるという事じゃな。そこを探すしか道はなさそうじゃな」
「二人が来た道は本当に帰れないの?」
「ムリダね~、部屋の鍵が無いから開かないし」
「十? だったか十一の鍵を手に入れれば帰れるじゃろうが……何処にあるか分からんぞ」
「そもそも、普通に外に出してくれそうにないみたいだよ」
僕は一歩部屋の外に出てみると、ここまで来た道中と景色が変わっている事に気付いた。
見覚えのある廊下だったと思ったけど、よく見てみると知らない室内に繋がっている。
「こんな個室は通った覚えないもん」
二人もセーブ部屋から出てみると、僕の行った事が分かったのか静かに息を呑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます