第49話 VRホラー開始
スタッフさん達の力を借りて、準備万端とセッティングしてもらい、全身の動きを念入りに確認していく。ここで失敗していると僕のアバターが在り得ない動きをしちゃうからね。
手が折れ曲がったりとか、顔が逆さ向きになったりとか。
自分自身がホラーなキャラになりかねない。
「ありがとうございます」
準備を終えてVRゴーグルを装着して貰い、僕がお礼を言うとスタッフさん達が微笑みながら「頑張ってくださいね」と言ってくれる。
……その言い方が、なんか本当に子供を心配している感じだったのが気掛かりだけど。
母さんに手伝って貰っていた珠音は、どうやらもう準備万端といった感じだった。
その間にも手慣れた様子の先輩達が、何やら先に配信を開始している様子だった。
「それじゃあ後半開始だが、ここで朗報だぞ諸君。彼等にもコメント表示がされるぞ、ただ気を付けて欲しいのは彼等はまだコメント見ながらのプレイは慣れていない。だから温かい目で見守る感じでコメントをしてやってくれよ」
「言うこと聞かないヤツ等はイジメるからな」
そんな声を聴きながら、僕等も準備を終えて舞台に上がる。
ゲームを起動する前に、少し動いたりして自分の体を見る。
「声は大丈夫ですか?」
「こっちは聞こえておるぞ」
「私の方も大丈夫~」
全員の声と動きを確認し終えたら、スタッフさんの方からもGOサインが出た。
そこで皆が一斉にゲームを起動する。
「おぉ~、此処が悠月ちゃんが開始したゲーム画面なんだ」
巨大な本が祭壇に飾られているタイトル画面で、そこに人影が五人写っている。
「ファレナちゃんのは違う感じだったの?」
「うん、全然違うタイトルだったの、というか、ほぼ勝手に始まった感じだったけどね」
「手の込んだ仕込みじゃな」
「半分は奈々先輩のせいだよ~、勝手に人の体を動かすんだからさ」
そのまま怖い所へと強制的に連れて行かれたという事らしい。
「それじゃあ続きからで良いのかな?」
「かな? そういえばコメントって見えてるの?」
言われて初めて僕は画面端に視線を向けた。
【あ、気付いた?】
【見えてるのかな?】
なんてコメントが次々に下から上に流れていっている。
「うん、見えてる。えっと、その、見てくれてありがとうございます?」
改めて、いま見てくれている人達が居ると思うとかなり緊張してきてしまった。
【……動作が可愛いんだが】
【あれ? 変な扉が開きそうな音がした】
良く解らないが急にコメントの流れが加速した。
その中に、スタッフさんからのコメントなのか、色付きで分かりやすく目についた。
「続きから良いみたい」
「あ、こっちにもあったよ~」
ファレナちゃんは腕時計型にしたようで、コメントが浮き出る形にしたみたいだ。
「童のとこにも来たぞ。それじゃあ続きからプレイじゃな」
珠音がぷかぷか浮きながら、【続きから】の文字に触れた。
すると画面が真っ暗になってしまった。
次に目を開く様な画面の後に、セーブした小部屋に僕達は立っていた。
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