第41話 初VRホラー開始
二階の渡り廊下を進み、屋敷の奥まできたけど嫌に広い屋敷だ。
このまま真っすぐに歩いて行けば中庭だけど、小人達が危ないって言ってたな。
何が危ないのかは分からないけれど、中庭は出来る限り通らないようにしよう。
「特に変わったようには見えんが、中庭の何処が危険なんじゃ?」
珠音も同じく気になるようで、チラチラと中庭を見ている。
ただ妙な事に中庭が見え難い。
二階からなら全体が見えてもおかしくないのに、何故か中庭までの間に道? いや部屋か? 遮られて半分も見えない。
どういう構造してるんだよ。
おかしいのはそれだけじゃなくって、中庭があるのに空が見えない。
空だと思ってみた上には三階の床らしきモノが見えるんだから。
「のう、なぜここいら辺は古い屋敷の様な感じなのじゃ?」
「分からない……いや、待って。エントランスからして……変だった?」
パッと外見からみたら和風建築の建物だったはずだ。
それなのに中に入ったら洋風な建物にあるようなエントランスだった気がする。
今まで見てきた部屋も和風だったり、洋風だったりしてた。
二階へ上がる階段が四番の部屋にあって、三番の部屋を通る感じで作れれてる変な構造だ。二階に上がるエントランスがあるのに? 変だよな。
「ここから見えてるのって、中庭じゃない?」
「はぁ? 何を言うておる。ここから外が見え……て……、いる訳ではないのう」
窓から下をライトで照らして見てみると、瓦屋根が見える。
「なぜ下に瓦屋根が見えるのじゃ?」
普通だったら窓に沿って瓦が並んで外側に並んでいるなら分かる。
けれど、下に見える瓦屋根は廊下から真っすぐ僕等が歩いて来た方向。
入り口側に向いて並んでいるのだ。
「継ぎ接ぎの様な屋敷じゃな」
襖で区切られた部屋がある。
少し先には壁で覆われた行き止まりの廊下があって、変な位置にドアがある。
上に明かりを向ければ、小窓があったり、畳部屋の床に何故かドアがついていたりする。
「うはぁ~、普通じゃない屋敷とは思ってたけどさ。えぇ~、ここまでヤバいヤツか~」
その場でしゃがみ込んで頭を抱える。
「な、なんじゃ? どうしたのじゃ?」
「ホラーでもこのタイプは駄目だって~。あぁ~、気付かなきゃよかった」
コレは絶対、中庭に行けない感じで部屋が継ぎ接ぎの様に建てられていると見た。
「きゃぁああぁぁぁぁぁ‼」
僕の脚が竦んでいる時に、ファレナの悲鳴が聞こえてきた。
「今の声は、どっからじゃ?」
「こっからはむやみやたらに探してる時間はなさそうだね」
かといってどうすれば良いんだろう。
『お困りのようで~、君達に良いヒントを上げようか?』
ケラケラと笑いながら眼鏡先輩が何処からともなく姿を現した。
「貰えるんなら、もらいたいですね」
『オーケー、なら【幸運】でダイスを振ると良い。そして次に【追跡】の技能でもう一度ダイスを振れば、もしかしたら何かしらの役立つ情報が得られるかもね』
「ふむ、幸運に追跡の技能じゃな」
『あぁ、ただし、今回は特別だが次からヒントを与える度に、君達の幸運値を貰うからね』
貰うって言う事は、正気度と同じ感じで減りすぎると不利って事だろうな。
それにしても、追跡なんて技能もあるのか。
ダイス次第っていうのが怖いんだよな。
良い目が出ますようにと、祈りながら僕と珠音はダイスを転がした。
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