第40話 初VRホラー開始
聞き耳の判定に成功して、ドアに耳を当てると中から微かに音が聞こえてきた。
カンッカンッカンッ――、
一定のリズムで、何か金属的なモノがぶつかっている音がする。
「人ではなさそうだけど、なんだろう」
「開けて調べてみるしかあるまい」
「ドア開けるのって僕だよね」
珠音は人の姿をしている訳じゃ無いから仕方ないんだけど。
「他に居るまい? ……一緒に部屋の中は覗いてやるからそう嫌そうな顔をするでない」
一人で中を見るよりは確かに心強い。
音を立てないよう注意しながら、ゆっくりとドアを開いていく。
部屋の中は暗く、灯りは点いていない様子だ。
ドアを開けた事で、室内の音が廊下まで響いてくる。
カンッカンッカンッ――、
子供用の部屋なのか二段ベッドが左右に置いてあった。
机も二つ其々のベッドに寄り添う感じで置いてある。
「ぶつかってる音の正体は、コレの様じゃの」
デスクライトのアーム部分が折れてしまっていて、ヘッドライトの丸い部分が電気コードで辛うじて繋がっているせいで、窓から入ってくる隙間風に揺れてベッドの柱に何度もぶつかっている音の様だ。
雨で湿っている窓を閉める。
「流石にスタンドライトは持っていけないな」
「懐中電灯? とやらもないのう」
机の引き出しを開いて中を確認するが、それらしいモノがない。
ベッド周りも調べてみるけど、普通の子供用のベッドだ。
「暗くて良く見えないな」
引き出しを引っ張り出して、手探りで探すと使えそうな電池を見つけた。
大きさ的には単二形だろう。
「肝心の懐中電灯は無いね」
電池を手に取ると、ポケットにしまう動作でインベントリに収納されるようだ。
「電池とやらだけか、次の部屋を調べるかの」
「じゃあ隣に行こうか」
時間を掛けていられないし、すぐに隣の部屋に向かって早歩きで移動する。
14番の部屋も聞き耳をすると、僕が失敗で珠音が成功。
「なにも聞こえないんだけど」
「窓が開いておるのか、隙間風っぽい音が聞こえるぞ?」
珠音が言う通りなようで、ドアを開くと風が吹き抜けていく音が聞こえた。
「ここも窓が開いてるの?」
「不用心じゃのう」
「そういう事でもない気がするけどね」
「ここは明るいのじゃ」
この部屋は物置にされているのか、段ボールが積み上げられている。
「流石にこれ全部開けて探すとかないよね」
「しかしこれ、殆ど空っぽのようじゃぞ」
珠音が近くにある段ボール箱を覗き込んでいって、教えてくれる。
持ち上げてみると、確かに空っぽで物音一つしない。
邪魔な箱をどかしていくと、【目星】でダイス勝手に転がり始める。
判定が成功と出た時に、足元にある段ボール箱に躓いてしまう。特にコケる事はなかったけど、空の段ボールではなさそうなので、よく見てみると文字が書かれている。
非常用と書かれた段ボール箱を見つけた。
しっかりと蓋をされた段ボール箱を開いてみると、中には懐中電灯や非常食などが入っていた。
「あったよ珠音!」
「よし、コレで先に進めるの」
懐中電灯を持ち上げてみると、妙に軽い。中に電池が入っていなかった。
インベントリから持っていた電池を入れて、ライトが点くか調べてみる。
「わふぅ⁉ 眩しではないか!」
「ごめんごめん、でも問題なく点いたね」
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