第37話 初VRホラー開始
「それにしても、何故じゃ? 四番の鍵を渡されたのに二階に行く鍵とは?」
「室内には特に何もなかったとに、三番じゃなくて四番の部屋の鍵だもんね」
とにかくもう一回、四番の部屋に行って調べるしかない。
「先ずは玄関近くは走って抜けよう」
「わかったのじゃ」
エントランスを走って抜けると、ダイスの判定はなかった。
廊下まで辿り着いてから、息を整えるよにゆっくりと四番の部屋に近付く。
もう一度、室内に入って見ても特に変わった所は無い。
「とにかく調べてみるかの」
「もっとちゃんと見れば何か見つかるかもしれないしね」
とにかく【目星】で部屋中を調べてみることにした。
僕は《86》で失敗した。
次に珠音が《36》で成功。
「ふふん、我が成功じゃな」
得意げに胸を張って威張る様に僕を見下ろしてくる。
「むぅ~、ほら早くなにか変わったところはないの?」
ちょっと悔しくて、頬に空気を溜めてムッとした顔で珠音を見る。
睨んでいる筈なのに、珠音は嬉しそうに僕をみるので何とも言えない気持ちになる。
「お主のそういう顔も可愛くていいのう」
「可愛くなくていいの、僕はカッコ良くなりたいんだってば」
「いや~、絶対にいまコメント欄では『コレは可愛い』っ的なコメが多いぞ」
今回はネタバレ防止の為にコメント欄を僕等は見る事ができない。
ここでファレナちゃんに会ったことを考えると、同時に配信している皆の事を知らせない様にしてるんだとは思う。
いまここで、ファレナちゃんの位置を教えられてしまったら一気に向かえば良いしね。
まぁ、初回だしコメント欄の皆とやり取りをしながらプレイをしろって言われても、無理だとはおもうけれどね。
だから初めてのゲームプレイがこういう形だったのは、ちょっと救いかもしれない。
先輩が消えたりして、偶に手助けしてくれるのは僕等の代わりに、視聴者さん達とのやり取りを代わりをしてくれているのかもしれない。
「あった、あったよ悠月~」
手招きをする様に何かを見つけた位置で、珠音がクルクルと回って僕を呼ぶ。
「タンスじゃん」
「うむ、しかしな床をよく見てみると、擦れた後があるんじゃよ」
珠音に言われるがまま床を見てみると、確かに擦れたような跡がある。
「ほんとだ……全然気付かなかった」
「動かしてみるかの?」
「そうだね」
擦れた床に沿って動かすよに力を入れてみると、少しづつだけどタンスが動き出した。
この壁の方向は丁度三番の部屋がある位置になる。
場所から言って、三番の部屋の一番奥あたりだろう。
一番や二番の部屋の間取りと同じだとしたら、だけどね。
「扉じゃな」
「また頑丈そうな扉だね」
小人達に渡された鍵を、扉の鍵穴へと差し込んで回転させる。
ガチャンと大きく音が聞こえて、僕等が取っ手を触っても無いのにゆっくりと、僕等を誘うように開いていく。
扉の先には人一人が入れる程度の狭い幅で、二階へと続く階段があった。
上へ行く道には、灯りが無く、薄暗い道だ。
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