第34話 初VRホラー開始



「次は三番だけど、まぁ聞き耳してみようか」


 二人でドアに耳を当てるも、やはり物音は聞こえない。


 判定は両者成功なのに、物音一つしてこなかった。


 ノブに手を置いて回してみるが、カチャカチャと微妙に動くだけで開かない。


「鍵が掛かってるようじゃな」

「みたいだなね……じゃあ、奥の四番だけだね」


 最後に残った奥のドアに向かう。


 聞き耳のダイスロールは、僕が失敗で珠音のが成功した。


「特に聞こえる音はないのじゃ」

「じゃあ開けるよ」


 他の部屋と違うと思ったが別に変な室内という訳じゃ無かった。


 ただタンスや押し入れなんかが荒らされている。


「もう誰かが家探しした後のようじゃぞ」

「みたいだね、それでも何か見つかるかもしれないし、色んな場所を見てみよう」


 注意しながら、一つ一つを注意深く見ていく。


「この部屋はアレじゃな、布団に使うシーツや大きいタオルくらいしかないのう」


「とにかく片付けてみようか、こうも散らかってちゃあ探し物も見つからない」


 探し物っていっても、自分達も物取りみたいなものだけど。


 床やベッドなどに投げ捨てられたモノを、手早くたたんでいって綺麗にしていく。


 多少の片づけをしながら、二人で室内全体を見やすくするために整理整頓をしていった。


 泥棒にでも入られたかのような、汚い部屋からスッキリと綺麗になった。


「ふむ、特に何もなかったようじゃの」

「三番の部屋の鍵も無しだったね」

「となると、今度は向かい廊下へいって調べるかの」


 来た道を戻って、入り口まで戻る。


 入り口付近に近付いたせいか、ダイスが独りでに転がり始める。


 【目星】で振られた様だが、今度は僕も珠音も判定の結果は《失敗》に終わる。


『かぁ~、なんで失敗すんだよ。そこは成功しとけや、くそ~』


「え~っと、ごめんなさい」


「何が起きるのかは見てみたかったがの」


『ほんとだぜ……なぁ、もっかい振ってみねぇか?』


「嫌です」

「嫌なのじゃ」


 ガクッと肩を落として、しょんぼりしたまま眼鏡先輩が消えていく。


「絶対に驚かせ要素だもんね」


「我じゃなくて悠月が怖がるのなら、物凄く見てみたいがのう」


「やめてよね」


「残念じゃの」


 ともかく入り口付近に何かあるのは間違いなさそうだ。


 次も戻ってくるからもしれなから、注意しておかないと。


「反対側も間取りは一緒っぽいね」


「じゃな、とにかくサクサクと家探しをするかの」


 そう思ったけど、五番、六番、七番のドア全部がカギが掛かっていて開かない。


「残るはこの部屋じゃな」


「二階に上がれる道があればいいんだけど」



 そう思い、一通りの手順で調べてからドアを開いた。



 室内は四番の部屋と全く同じ作りだった。




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