第5話
そんな事を考えていると、一学期の最終日が終わった。
家に着くとリュックを放り投げ、クーラーをつけ、セミがうるさい流し私はゆかに大の字になって目を閉じた。
友達と恋人とで花火大会に行く夢を見た。
懐かしい。
これは、私が小学生の時に思い描いていた夢のかけらだ。
小学生の時には毎日のように
「早く小学生になりたいなぁ」
と言っていたものだ。
その言葉の中には多くの眩しいくらいの夢があった。
さっきの夢のような事だったり、放課後に運命的な出会いをする夢だったり、冬に大切な人とマフラーを交換する夢だったり。
そんな事をランドセルを背負って考えていた。
あの輝きはどこで落としてしまったのだろうか。わからない。
でも、きっと皆一つは知らず知らずの内に落としてしまっている。
高校生になった今、恋人どころか自分は好きな人すらできた事がない。
中学生の時には皆好きな人がいて付き合ったりしていた。
何より衝撃的だったのは、学校で行われた講演会で
「皆さんの歳なら好きな人はできた事はあるでしょう」と言われた事だ。
それからの話の内容は全く覚えていない。
ただ、ひたすらに考えていた。
「好きって何と」
講演会が終わり、友達に聞いてみたが
「え〜?好きになったら好きだよ!あとはドキドキするのか〜?」
とニコニコしながら言われた。
ぶっちゃけ、意味がわからなかった。
答えになっていない気もした。
胸が高鳴ることもなかったし、まず皆どこでその人の事を
「好き」と確信するのだろうか。
何が好きと確信させるのだろうか?
わからない。本当にわからない。
まず、異性のことを異性としてみていない気がする。
人間としてみて性別は気にしないし、ただの友達。恋人になるより、仲良くなりたいと思う。
恋と皆はっきりいうが、恋って何色なのだろうか?
よく、自分は赤やピンクで表していたが最近は違和感を感じるようになってきた。
だってほら、恋ってずっと暖かいものをくれる訳ではなく、時に心を凍らせるような物を投げつけていたり、放っておけば色あせてゆく気がする。
そう考えると、恋って単色ではない気がする。でもだからといって七色とか様々な色で表せるものでもない気がする。
わかりやすく言うなら、保育園の頃にやった
まずいろんな色をクレヨンで塗ってその上から黒のクレヨンを塗り、爪楊枝などで削るようにお絵描きしたような感じが恋だと思う。
掘ってみないとわからない。そんな感じが恋と似ている気がする。
私はいつか恋をするのだろうか。何色を掘り当てるのか。照れくさいけど少し楽しみだ。
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