第4話

あっという間に一学期が去ろうとし、通知表の確認で成績の紙が配られた。成績は1から10段回でつけられる。

問題の体育の成績に目をやると、私は7でありさは6だった。

私は不平等だと思った。ありさはあんなに持久走を頑張っていたのに。

恐らくその差は持久走の後のバレーの授業にある。

自慢ではないが私は球技が得意だ。

バレー部ほどではないがバレー部の次にできると思っている。

ありさも苦手ではないが私との出来の差はかなりある。

いつだって、世界は残酷だ。努力なんてあったもんじゃない。

努力なんてものはない。努力は報われない。

才能という暴風が努力というそよ風をかき消すのだ。

なのに、人はよく、

「努力は報われる」という。

きっと、そう信じたいのだろう。そう信じてやれば何でもできると自分にとって言い聞かせているのだろう。

そうやって己を奮い立たせ、またそうやって人は怠惰になっていく。

報われないから人は涙が流せると自分は思う。悔しかったり悲しかったりするから涙を流す。憤慨するから怒り顔をする。

そうやって何か形を作る。そうでなければ誰も同情してくれないからだ。

自分の中でうじうじ考えていたって誰も何もしてくれないんだ。

努力なんて物は存在しない。神や仏は思っているほど親切じゃないし優しくないのだ。

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