第24話 暗闇の死闘
グハァァァァアアア!!
強烈な悪臭に顔を塞いだその隙をついて、サスルポが攻撃を仕掛けてきた。とっさに身体を横に動かして、ハンマーによる一撃をよける。
「うっわっ!!」
水で濡れた岩盤に足を滑らせて、よろめく。そこにヤツの2撃目がくる。やべぇっ!!
「イェラアアア!!」
サスルポがハンマーを振り下ろすよりも先。その丸太のように太い腕をキンダーが斬りつけた。
ブヒィィィイイイイ!!
サスルポはひるみ、2~3歩後ずさる。その間にオレは体勢を立て直す。
「アマネ!! 外から応援を呼んできてくれ!!」
「わ、わかった……!」
リョウが指示を出す。悪臭に耐えられず、うずくまっていたアマネは、腕で顔を押さえながら岩のホールから出ていった。ナイス判断だリョウ。彼女はもともと戦闘要員ではない。外に出したほうが、こちらも戦いやすい。
侵入者の戦意が高いことに気づいたサスルポは、こちらの様子を伺っているようだ。こちらも剣を抜き、弓を構え、戦闘態勢に入る。つかの間、にらみ合いが続く。
「あ……! うえ 見ろ!!」
何かに気づいたイーズルが、松明を頭上に突き出し、天井を照らした。
「なっ…!?」
人影だ! それも子供くらいの大きさの影がふたつ、天井に渡された荒縄に縛られ吊り下げられていた。
「センディ!!」
キンダーが叫ぶ。間違いない。オレの位置からも確認できた。その影の一つはセンディだ。
「ぶじ なのか?」
オレはイーズルに問いかける。
「ああ サスルポ たべない えもの つりさげて とっておく」
保存食というわけか。ハンマーを使ったり、荒縄で獲物を囚えたり、それなりに知能のあるモンスターらしい。なるほど、村の子どもたちが言っていたように、熊より強いのは確かかもしれない。
「サスルポ よわい ところ あるか?」
「あたまの いちばん うえ けん させば しぬ」
脳天を斬りつけろ? いや無理だろ。身長3メートル近い巨体、その一番上を狙えって?
「ぜんいんで こうげきして やつ ころばせる そうすれば あたま ねらえる」
確かに……けど、剣や弓矢でチクチクやって転ばさられるのか? その前にオレたちがバテてぶっ倒れないか?
「それしか手がないなら、やるしかないだろ」
リョウは矢をつがえて弓を引き絞る。が、それとほぼ同時に、サスルポがハンマーを振り回しながら突進してきた。
ブフォォォオオオッッ!!
「やっべ!!」
リョウは弦から手を離して、その場から横走りで離脱する。数瞬前にリョウがいた場所に擦るぽのハンマーが叩きつけられた。
ヤバイ……転ばせるどころじゃない。この暗闇の中じゃ、攻撃を避けるだけで精一杯だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます