第21話 落とし前は全員で
「探しに行こう」
広場には里の転生者が全員集まっている。リョウの一声に、全員が頷いた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
オレはそこに割って入る。
「これはオレが引き起こした問題だ。魔石探しはオレの落とし前だし、センディがいなくなったのも……」
「バカかお前は!?」
リョウはオレの頭をバシッと叩く。
「子供一人いなくなってんだぞ!? 落とし前がどーとか言ってる場合か!!」
「…………」
「そうですよ!」
アツシもそこに入ってくる。
「魔石の件も悪いのはオクト達です。パーティーにいたからってゲンさんが背負うことないでしょう?」
「そうだそうだ!」
「前から思ってたんだよ。ゲンは一人で抱え込みすぎだ!」
「責任があるって言うなら、むしろ転生者全員の問題だ! 落とし前はオレたち全員で付けるぞ!」
はぐれ者たちは次々と声を上げる。お前ら……。
「よし、決まりだな」
リョウは両手を上げ、気炎を上げる皆を沈める。
「キンダー おしえてくれ センディの ばしょ こころあたり ないのか?」
キンダーは押し黙ったまま首を振る。アツシが腕を組み、広場を照らす篝火を見つめながら考える。
「村長の話だと、マナが集まる場所に魔石が発生するんですよね……? キンダーさん マナ どういうばしょ できる?」
「………しぜんが ふかい ばしょだ もりの おくの どうくつや たいじゅ わきみず そういうところ」
洞窟に大樹に湧き水、森の中にはそんな場所はたくさんある。
「……あ!」
転生者の中から何かに気づいたような声が上がる。里の紅一点、浦川アマネだった。
「どうした、アマネ?」
「ええっと……うん。前に子供たちが話してたんだけど……」
アマネは転生前は、保育士を目指す大学生だったそうだ。子どもたちの扱いに手慣れていて、村では彼らと一緒にいることが多い。オレに子供から聞き出す時はオーバーアクションが良いと教えてくれたのも彼女だった。
「ネーラン、いるよね? 子どもたちの最年長の。あの子がお父さんの狩りを手伝ったとき、入り口から湧き水が流れる大きな洞窟を見つけたって……」
ああ、そういえば
「ネーラン
「なんだって……」
キンダーは震えて上ずった声をだす。
「わきみずの でる どうくつ サスルポの すみか……」
その単語を聞いてオレの心臓が爆発しそうになる。サスルポ……センディが言っていた熊を倒す巨大なモンスター……
「そっ……そのこと センディ しってるか?」
「たぶん しらない かりをする おとなたち だけの ちえ」
広場全体がざわつく。
「アマネ、その場所が何処にあるかネーランは言ってたか?」
「うん……ガズト山の方」
ガズト山は村の北西にある、平野から突き出た小高い山だ。この里は村の真東に位置する。ほとんど逆方向だ。
「急いで山を降りるぞ! 一度村に寄って、ネーランの父親に道案内してもらう!!」
おおーっ!! っと、転生者たちは声をあげ、武器になるものを取りに自分たちの小屋へ走っていった。
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