第2話 おっぱいがめっちゃでっかい
これは、言葉が全く通じない異世界に転移する更に一時間前のことだ。
「単刀直入に言うね。キミは死にました。ご愁傷様です」
気がついたとき、オレは真っ白い何もない空間に立ち尽くしていた。
そして目の前には、美人な女性がひとり立っており、彼女から過去形で死を宣告された。
「え? えーと……死んだ? オレが??」
「そう! 前方不注意のSUVにぶつかってドカーン! そのままグシャァッ!!」
彼女は自分の右手と左手をぶつけると、左手を弾き飛ばし、手を開いてパタパタと降った。そのジェスチャーから想像するに、かなり嫌~な死に方をしたようだ。
おぼろげながら覚えている。
学校帰りの、国道の交差点。手押しカートに体重の乗せて立っている腰の曲がったおばあさんが、中央分離帯に残されていた。
信号が青になると、おばあさんはカートを押しながら、よたよたとこちらに向かって歩いてくる。その時、右側からスピードを全く落とさないクルマが一台交差点に向かって突き進んできた。
今思うと、よくそんな事をしたと思う。オレ史上最高の英雄的行動。そしてどうやら最後だったらしい英雄的行動……
とっさに身体が動き、横断歩道に飛び込んでおばあさんをカートごと突き飛ばした。
その後のどうなったの記憶は全く無く……気がつくとこの空間にいた。
「記憶がないのは当たり前。キミ、即死だったんだわ」
「ああ…そっすか……あ! じゃあ、おばあさんは? あのおばあさんどうなりました!?」
「安心したまえ、この部屋に来たのはキミだけだ」
「そうですか……」
ほっと、ひと安心。ん? 安心?? オレ自身が死んでるのに?? そもそもここどこ??
「えーっと……、ここって何なんです? 死んだ人が来る場所?? …エンマ様的な??」
「まぁ、そういうことになるかなー。君たちの世界のエンマ様とやらは、わらわと似ても似つかないけど」
確かに。どんなキャラデザだったか詳しくは覚えてないけど、エンマ大王といえば髭面で真っ赤な顔の、おっかないおっさんのはずだ。
目の前にいる人……というか女神様? は、エンマ様とは真逆の姿と言っていい。白くほんのり透けている薄いドレスに包まれた身体は、めちゃくちゃキレイなラインの曲線で描かれ、おっぱいがめっちゃでっかい。
顔はもう美人そのもの。目が大きくキリッとしていて、鼻は高く、唇は薄紅色で程よくぽってりと厚い。そして、おっぱいがめっちゃでっかい。
足元まで伸びる長い髪の毛は、プラチナブロンド……というのだろうか。透き通るような薄い金色で、キラキラと輝いている。そして何より、おっぱいがめっちゃでっかい。
「ここに来る男は皆そうだな。わらわのそこばっか見てる……」
女神様はオレの顔を見ていう。やべ、気づかれた。オレは慌てながらもできるだけ自然体で顔を逸らす。アナタが気づいた時に、たまたまそっちの方向に目線が言ってただけで、決してガン見してたわけじゃないですよ…?
「バレバレだって…… まぁそんなことより…」
女神様は両手でオレの顔を掴むと、ぐいと正面に向け直した。
「キミをこれからどうするかなんだ」
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