第24話 ケーキバイキング
それから数日が経った。
仕事の昼休み、コンビニで買った弁当を食べていると、休憩に来たおばちゃんが話しかけてきた。
「矢口君。最近どうなのよ。彼女はできたの?」
「はい。彼女できました」
「あら、そうなの!!よかったわねー!!どこで知り合ったの?」
「婚活イベントです」
「なるほどねぇ。相手の子は?何歳なの?」
「四歳年下ですね」
「あら、いいじゃない。どういうところにデートに行ってるの?」
「まあそうですね。ご飯食べに行ったり、映画行ったり色々してますね」
「じゃあ良いところ教えてあげるわ。サニーデイズホテルのケーキバイキング行ってきなさいよ。かなり良かったわよ」
「ケーキバイキングですか」
「そう。私も娘が行きたいって言うから行ってきたのよ。もう凄く美味しくて食べすぎちゃったわ」
「へぇー、ケーキバイキングかぁ。良いですね。今度行ってみます」
良い情報を聞いた。
俺は早速、加奈にメッセージを送った。
「職場のおばちゃんがさ、サニーデイズホテルのケーキバイキングが美味しいよって教えてもらったんだ。行ってみない?」
「えっ!?ケーキバイキング!!行きたい!!」
「よし、じゃあ決まりだね。次の休みの日に行こうよ」
「うん!!」
それから一週間が経って、ケーキバイキングに行く日がやってきた。
加奈と駅前で待ち合わせる。
約束の時間より少し早めに来て、加奈が来るのを待っていた。
すると約束の時間通りに加奈がやってきた。
「お待たせ」
「それじゃ行こうか」
「うん」
一応調べたけどドレスコードとかは、特にないらしい。
余程変な格好でもしていない限り、入店を断られる事はないだろう。
「今日はさ、俺頑張って食べて元を取ろうと思って、昼ごはんを抜いてきたんだ」
「凄い気合入れてきたんだね」
「うん。頑張って元取るよ」
サニーデイズホテルに到着し、ケーキバイキングが開催されている二階に上がった。
初めてサニーデイズホテルに入ったけど綺麗なホテルだ。
席に案内されてケーキバイキングの説明を受けた。
ケーキと飲み物がどれでも全てのメニューを食べ放題で、時間は二時間だという。
店員がテーブルを離れていった。
「楽しみだねー。早速取りに行こうか」
「うん」
沢山の種類のケーキが並んでいる。
まずは定番のショートケーキ、チョコレートケーキを取る。
そして飲み物は、ホットコーヒーを入れる。
加奈も最初は、ショートケーキ、チョコレートケーキを取る。
加奈は、紅茶を入れて席に戻った。
「頂きます!!」
「美味しそうだねー」
ショートケーキを口の中に入れる。
甘酸っぱいイチゴと生クリームが口の中で広がる。
「美味しい!!」
「生クリームも甘すぎなくて丁度良いなぁ」
続いてチョコレートケーキを食べる。
「やっぱりチョコレートは、定番だけど美味しい」
「うん。チョコレートケーキにハズレなしだね」
軽く二つのケーキを食べ終わり、次のケーキを取りに行く。
続いて俺が持ってきたのは、モンブラン、チーズケーキ。
加奈は、オレンジケーキとラズベリーケーキ。
「おっ、加奈はオレンジケーキとラズベリーケーキか。それも美味しそうだなー」
「モンブランとチーズケーキも美味しそうだね。後で食べよっと」
モンブランとチーズケーキを食べる。
「やばい。めちゃくちゃ美味しい」
「オレンジケーキも爽やかで美味しいよ」
四つのケーキを食べ終わり、次のケーキを取りに行く。
次に取ってきたのは、ティラミスとマスカットケーキ。
加奈は、フルーツタルトと抹茶ケーキを取ってきた。
「マスカットケーキって食べた事ないかも」
「ねー!!」結構珍しいよね」
マスカットケーキを口の中に運ぶ。
「うん。これ美味しい。マスカットケーキ、ありだよ」
「いいなぁ。後で私も持ってこよっと」
続いてティラミスを口の中に運ぶ。
ほんのり苦味があり、甘さとの絶妙なバランスが美味しかった。
六つのケーキを食べ終わり、次のケーキを探しに行く。
見て回っていると気が付いたけど、ケーキ以外にもドーナッツやミニパフェも置いてあった。
結局色々見て回ったけど、ミルクレープとブルーベリーパイを持ってきた。
「あー!!ミルクレープだ!!それ美味しそう。次、私もミルクレープ取ってくる」
加奈はテーブルに戻って来た俺のミルクレープを見て取りに行った。
戻って来た加奈は、ミルクレープとプリンアラモードを持って戻ってきた。
「やばい。全部美味しいんだけど」
「うん!!これはハマるねー」
ついに八個のケーキを食べ終わった。
いくら昼ごはんを抜いてきたとはいえ、さすがにかなりお腹いっぱいになってきた。
でもまだ食べれる。
テーブルを離れてアップルパイとキウイタルトを取ってきた。
アップルパイを食べ終わり、キウイタルトを食べる。
キウイの酸味が、甘さばかりの口の中をリセットしてくれる。
珈琲は、すでに三杯目を飲んでいた。
俺は十個のケーキを食べ終わり、限界に達した。
もう食べられない。これ以上は無理だ。
しかし加奈は、俺の上をいった。
戻って来た加奈は、マンゴープリンとベイクドチーズケーキを持ってきた。
「加奈、まだ食べれるの!?」
「うん。まだ食べれるよ」
「凄いね。俺、もうだめだー。休憩する」
珈琲を入れてきて、珈琲をちびちびと飲む。
女子はスイーツに強いというのは、本当の事だった。
しかしそれにしても美味しそうに幸せそうな表情をしながら食べる加奈の顔を見て、連れて来てよかったと思った。
「ここのスイーツは、一体何種類あるんだろう」
「多分、三十種類は越えてるよね」
「うん。それくらいありそうだな。ドーナツやパフェもあるし」
「これは一回来ただけでは、全部制覇できないね」
「また来たい?」
「うん。また来たい」
「ほんとさ、どれ食べても当たりだよね」
「うん」
加奈は、それから三回席を立ってケーキを取りに行った。
昼飯を抜いてきた俺よりも食べてる。
恐るべし。女の子のスイーツ魂。
俺は相変わらず、ちびちびと珈琲を飲み続けた。
ううっ……く、苦しい……。
ケーキ十個は、頑張りすぎたな。
しかし加奈は、ケーキ十五個を食べた。
「もうお腹いっぱいになっちゃった」
「満足した?」
「うん。満足したー。幸せー」
「それは良かった。加奈、本当に美味しそうに食べるから連れて来てあげてよかったよ」
「うん。ありがとうー。サニーデイズホテルで、こんなケーキバイキングやってるの知らなかったよ」
「職場のおばちゃんに感謝だなー」
「うん。お礼言っておいてね」
「わかったよ」
それから時間いっぱいになるまで、のんびり喋りながらたまに珈琲を飲んだりして過ごした。制限時間の二時間をフルに使って、ケーキバイキングを堪能した。
店を出て帰る事にした。帰りの電車に乗り、駅前に到着した。
「今日はありがとうー。ケーキ美味しかった」
「うん。美味しかった。俺も楽しかったよ」
「全メニュー完食目指して通いたいね」
「あはは。あと二回くらい行かないと出来ないかも」
「そうだね。それじゃ、私そろそろ帰るね」
「うん。帰り道、気を付けてね」
「うん。またね」
それから加奈と別れて家に帰った。
途中、腹がゴロゴロ鳴ってスーパーのトイレに立ち寄った。
俺は、食べすぎて腹にきたのだった。
「……今日は、晩飯いらないわ」
トイレの中で独り言を呟いた。
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