第22話 陶芸教室デート
それから数日が経った。
俺は仕事を終えて家に帰ってきて、テレビを点けた。
すると骨董品を鑑定する番組をやっていた。特に見たいテレビもなかったので、なんとなくそのまま流していたら、変な皿が出てきた。しかしその皿の価格は、百万円だった。
「へぇ。こんな変な皿が百万円もするのか。なんか俺でも描けそうな絵だな」
テレビに向かって独り言を呟く。
そしてテレビからは、芸能人が陶芸の体験をしている映像が流れてきた。
それを見た俺は、なんだか自分も陶芸体験をやってみたくなった。
スマホを使い、陶芸体験ができる場所はないかと調べてみた。
すると案外近くで陶芸体験ができる場所があった。
俺は加奈にメッセージを送った。
「なんかさ、テレビで陶芸体験をやってたんだ。俺もやってみたくなったよ。加奈は陶芸とかやったことある?」
「やったことないよ」
「それで調べてみたら近くで陶芸体験やってるんだ。一緒にお皿とか作りに行ってみない?」
「へぇー、面白そうだね!!やってみたいかも!!」
「じゃあ来週、やりに行こうよ」
「うん!!」
それから一週間が経った。今日は加奈と陶芸体験に行く日だ。
待ち合わせ場所に早めに着いて、加奈を待っていると時間通りに加奈がやってきた。
「お待たせ」
「おっ、ちゃんと汚れてもいいような格好で来てるね」
「うん。一応ねー」
「それじゃ行こうか」
「うん」
陶芸体験教室には、家族連れや女性同士で来ている人、カップル等色々な人が来ていた。
結構、幅広い年齢層の人がいるものだなと思った。
今回やる陶芸体験は、絵付け体験プランというものだ。
あらかじめ素焼きされて用意された生地に絵を描くというものだ。
完成するのに一日で完了するので、このプランにする事になった。
まずは、ボールペンで下書きをする。
実際のイメージよりも少し太めに描くのがコツだと教えてくれた。
そして下書きが完成したら、色を塗っていく。
今回、選んだのは皿だった。
格好良いデザインの皿を作る為、青と黒を使って塗っていく。
「曜変天目茶碗みたいなの作りたい」
「何それ?」
「国宝だよ。宇宙みたいな感じのやつ」
「へぇー」
「加奈はどんなの作るの?」
「私は風神雷神の雷神を描こうかなって」
「えっ?めちゃくちゃ難しそう」
「まあ色塗るだけだし、大丈夫だと思う」
そして出来上がったのは、曜変天目茶碗とは程遠い出来栄えの皿だった。
「だめだ。全然良い感じにならなかった。加奈はどう?」
「私は出来たよ」
そこには、格好良い雷神の絵が描かれていた。
「すげぇ!!加奈、絵上手いな」
「私、昔から絵描くの好きなんだ。中学生の時は美術部だったんだよ」
「そうかぁ。やるなぁ」
加奈の意外な才能を知った。
こうして陶芸体験教室は、終わった。
完成した俺のイマイチな皿は、おかずを乗せてちゃんと食器として使っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます