第11話 ピクニックデート
次の日になった。加奈から足は大丈夫?とメッセージが届いた。
俺は、大丈夫だけどしばらくクラゲ恐怖症になりそうだよとメッセージを送った。
それから次のデートは、どこに行こうかという話になった。
「うーん。そうだなー。来週は天気も良いし、公園にピクニックとかどうかな?」
「いいね!!私、お弁当作るよ」
「えっ!?ほんと?加奈の手料理を食べれるのか。それは興味ある」
「じゃあ来週は、ピクニックで決定だね」
「楽しみだなー」
メッセージでのそんなやりとりがあった。
それから一週間が経った。今日は加奈と公園でピクニックをする日だ。
お弁当は、加奈が作ってきてくれる。とても楽しみだ。
俺は遊び道具を持って来て欲しいと言われたので、思いつくものを適当に用意した。
フリスピー、バトミントン、後はシャボン玉。公園には遊具もあるし、これだけ用意すれば大丈夫だろう。
加奈との待ち合わせ場所であるバス停に行く。
待ち合わせ時間から十分程遅れて加奈がやってきた。
「お待たせ―。ごめん、待ったー?」
「ううん。大丈夫だよ。それじゃ行こうか」
「うん」
予定通りのバスに乗り込んで出発する。
「今日は天気よくてよかったね」
「うん。ピクニック日和だ」
それからバスの中では、加奈が最近ハマりだしたというスマホゲームの話になった。
俺はそのスマホゲームをやった事がないので、バスの中で加奈に勧められてダウンロードしてみた。
そして横から加奈にやり方を教えてもらいながらゲームをする。
これがシンプルなのに、案外奥深くて面白かった。
「なるほど。敵陣にどこから攻めるか、何のキャラを使うかが大事なのか」
「そうそう」
「ルールはシンプルなのに、なかなか戦略性があって奥深いな」
「そうでしょー?」
「うん。これ面白いよ。キャラの育成要素もあるし、ハマりそうかも」
「ねぇ。私がフレンドになってあげようか?私のキャラ使えるようになるよ」
「そうだね。じゃあ頼むよ」
なんだかエグモンの時と逆の立場になった。
俺は加奈とフレンドになり、加奈のキャラを使えるようになった。
「頑張って極めるよ」
「うん。私も負けないから。あっ!でも課金はなしだよ?ズルしちゃだめだよ?」
「分かってるよ」
そんな話をしているうちに、バスは公園近くの停留所に着いた。
バスを降りて少し歩いて公園に辿り着く。公園には、結構人がいた。
時間帯は丁度、昼頃になっていた。
適当に公園内を歩いていると、丁度良さそうな場所を見つけた。
「この辺りでお弁当食べようか?」
「そうだね。ここら辺にしよう」
芝生の上にシートを広げて座る。
そして加奈がバッグから持ってきたお弁当を取り出す。
中を開けると美味しそうなおかずとご飯が出てきた。
「おおーー!!凄い!!これ全部、加奈の手作り?」
「そうだよ。口に合えばいいんだけど」
「いただきます!!」
タコの形をしたウインナーを口の中に運ぶ。
「美味しい。こういうタコの形にする遊び心って楽しいよね」
「うん」
次は卵焼きを食べてみる。
「おお!!この卵焼き、出汁が効いてて美味しい!!」
「よかったー」
続いてプチトマトを食べて、ミニハンバーグを食べる。
「このハンバーグも美味しい!!加奈って料理上手なんだね」
「まあ一応、家でお母さんが作る晩御飯の手伝いとかもしてるから」
「偉いなぁ。俺なんて料理全くできないよ」
「ええ?じゃあ、いつもご飯どうしてるの?」
「まあ適当にスーパーでお惣菜買ったりコンビニで弁当買ったりかな」
「自炊も覚えないと」
「だよねぇ。やろうやろうと思ってるんだけど、仕事終わりだと疲れてて、なかなかやる気出なくてさ」
「そっかぁー」
「加奈、また今度料理教えてよ」
「うん。いいよ」
そんな会話をしながら、お弁当を堪能する。
景色を見ながら食べる弁当の味は、本当に美味しかった。
お弁当を食べ終わり、お茶を飲んで、しばらく休憩する。
小さな子供達が遊具で遊びながら、はしゃぎまわっている。
「子供って可愛いよね」
「加奈は子供好き?」
「うん。私もいつか子供欲しいなー。二人くらい」
「二人かぁ。一人っ子だと子供が寂しいよね。やっぱり兄弟を作ってあげたい」
「智也君もそう思う?」
「うん」
「私もだよ。一番の理想は上が女の子で、下が男の子。そしたらお姉ちゃんに弟の面倒も見てもらえるし」
「あはは。確かにそれはいいかも」
それから二人で遊んでいる子供達を眺めた後、二人でフリスピーをして遊んだ。
これが結構楽しくて、上手くキャッチできたりできなかったり。
つい夢中になってやってしまった。
バトミントンも持ってきたので、バトミントンもやった。
ラリーがなかなか白熱する事もあって、つい熱くなってしまった。
こんなに運動したのは、久しぶりの事だった。
疲れてきたので少し休んで、シャボン玉を飛ばした。
青空に向かってゆっくりと飛んでいくシャボン玉は、とても綺麗だった。
その後は、公園の中を散歩した。
すると子犬を散歩させていたおばさんがいて、子犬が加奈に懐いてきた。
「わぁ!!可愛い!!」
「ほんとだ。可愛い。柴犬の子犬だね」
加奈がしゃがみこんで、子犬を撫でる。
すると子犬は、加奈の顔をペロペロと舐める。
「わああ!!ふふっ……。あはは」
「加奈、犬好きなの?」
「うん。私、犬派だよー。智也君は?」
「俺は猫派だけど、犬も好きだよ」
「私、猫には全然懐かれなくてさー。いつも逃げていくんだ。だから犬が好き」
「犬は人懐っこいもんね」
加奈が子犬をもふもふして撫でて
「じゃあねー」
と言って、犬に手を振った。
それからしばらく歩いていると、池が見えてきた。
「あっ、そうだ。ここさ、ボートできるんだよ」
「へぇー、そうなんだ」
「ねえ、ボート乗りたい!!」
「よし、じゃあ乗ろうか」
手続きをしてボートに乗る。
ボートに乗るなんて初めての経験だ。
上手くこげるだろうか。
「あー……えーと、こんな感じでオールをこげばいいのかな……?」
ボートがくるりと回る。
「あれ?回転してしまった……。えーと、こうかな」
今度は上手く進んだ。
しばらくこいでいると、また回転してしまったりして上手くいかない。
くるくると何度も回りながら、少しずつ進んでいく。
「智也君。こっち向いて―」
気が付くと、加奈がスマホを手に持っていた。
写真を撮る気だ。
「はい、撮るよー!!」
パシャッ!!
撮れた写真を見せてもらうと、見た目は良い感じにボートをこいでいる人だ。
「おっ!!なかなか格好良く撮れてるじゃん」
「あはは!!実際はそこまで上手くないのに、なんか無駄に達人っぽい!!」
「あはは!!ほんとだなー」
しばらく下手くそな操縦でボートを堪能して降りる。
自販機で飲み物を買って飲みながら歩く。
そして公園の周りを一周して、お弁当を食べた芝生のところに戻ってきた。
「うー!!良い天気だなぁ!!ちょっと休憩しようか」
「うん」
そう言うと俺は、芝生の上に寝転ぶ。
「おっ!!芝生の上、良い感じ。気持ちいい。加奈も寝転んでみなよ」
「うん」
そう言って加奈も芝生の上に寝転ぶ。
「おー!!ほんとだ。気持ちいいね」
「やばい。寝れそう」
そう言って目を閉じて、芝生の上でのんびりと過ごした。
そうしているうちに夕方になった。
「そろそろ良い時間だし、バスの時間もあるし帰ろうか」
「そうだね」
また帰りのバスに乗り込み、帰ってきた。
「今日は楽しかったよ。お弁当ありがとう。凄く美味しかった」
「うん、よかった。私も楽しかったよ」
「それじゃ、またね」
「うん。またね」
こうしてピクニックデートは、終わりを迎えた。
こういうのんびりしたデートもありだな。楽しかった。
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