第7話 ご飯デート

それから一週間が経った。

この一週間での大きな成果は、木下さんと呼ぶ事から加奈と下の名前で呼ぶようになった事だ。

スマホでやり取りする日々が続き、加奈と次のデートをする日が決まった。

デート当日になり、加奈とのデートの待ち合わせ場所に向かった。

待ち合わせ時間の十分前には着くようにした。

俺は、律義に横山の教えを忠実に守っている。


「ごめん、お待たせー」


加奈がやってきた。


「ううん、俺も今来たところだよ。じゃあ行こうか」


俺はこの一週間、ネットを使ってお洒落な店を必死に探しまくっていた。

横山にオススメの店を聞いても良かったけど、もうアイツに頼ってばかりもダメだ。

お前に彼女ができるまでって言っただろ。お前、まだ俺に頼る気か?後は自分の力でなんとかしろ。絶対そう言うに決まっている。だからこれからは、俺一人でなんとかしなければならない。自分の力で頑張って探そう。そう思い、横山に連絡する事はなかった。

今日行く店は、イタリアン料理が美味しいと評判の店だ。

特にパスタとピザが絶品だとグルメレビューサイトに書いてあった。

初めていく店だけど、ホームページの写真を見た感じでは、店内は綺麗で清潔感があり、雰囲気も良さそうだった。

店に着いて店員にテーブル席へと案内された。

店内はホームページの写真で見たとおり、綺麗で雰囲気が良かった。

周りの客は、カップルっぽい人達や女性客が多くて、ヤバい俺浮いてしまうと一瞬思ったが、よく考えたら俺もカップル客だったという事に気がついた。


「ネットで調べたんだけど、ここはパスタとピザが評判良いみたいだよ」

「綺麗な店だね。私、初めて来た」

「俺もだよ。注文どうしようか。うーん、俺はやっぱり評判の良いナポリタンにしてみようかな」

「じゃあ私は、これにしようかな。シーフードの和風ペペロン」

「ピザも気にはなるなー」

「うん、美味しそうだね」

「でも量がどれくらいか分からないし、多すぎると困るからまた今度にしようか」

「そうだね」


ブザーを押して店員を呼んで注文した。


「ナポリタンとシーフードの和風ペペロンで」

「ナポリタンとシーフードの和風ペペロンですね。分かりました」


店員は、忙しそうに店の奥へと行った。


「加奈は休みの日は、いつも何して過ごしてるの?」

「私、仕事の休みがシフト制で不定期だから友達とあまり休みの日が被らなくて、家でレンタルしてきた映画観たりして過ごしてるよ」

「映画かー。最近は何を見たの?」

「千の絆観たよ」

「千の絆かぁー!千人の仲間達と天下統一を目指す戦国時代を題材にしたアニメのやつだよね」

「そうそう!」

「逃げろ、藤一。後は俺に任せろって言って、傷だらけの仲間を逃がすシーンは熱いよね」

「うんうん!!」


またアニメの話になった。

あのシーンの作画が良いんだとか熱心に二人で語り合っていると、ナポリタンとシーフードの和風ペペロンが運ばれてきた。

良い匂いが漂う。


「うわー、美味しそう。頂きます!」


ナポリタンを口の中に運ぶ。とても美味しかった。


「おお、めっちゃ美味い。ナポリタンで正解だった」

「シーフードのペペロンも美味しいよ。ナポリタンも美味しそう。ねぇ、ちょっと貰ってもいい?」

「うん、いいよ。じゃあシーフードのペペロンもちょっと味見していい?」

「うん」


お互いのパスタを少し交換して食べる。


「おっ!これも美味いね。やっぱりこの店のパスタは、当たりだ」

「うん!!私もこの店好きになったなー。また来ても良いかも。今度はピザ食べに来よう!!」

「そうだね」

「それでさっきの話の続きなんだけどさ、映画といえば劇場版の風神雷神が来週から公開だね」

「三人目の神!!あれ、凄く見たいんだよー!!」


加奈の目が輝いた。凄く笑顔になった。


「俺も気になってるんだよね。予告編見たよ。面白そうだよね」

「うん!!三人目の神の声優、非公開なんだよね。三人目の神が男キャラなのか女キャラなのかも謎に包まれてるんだよね」

「今度、映画見に行かない?」

「うん!!行きたい!!行こう!!」


次のデートは、風神雷神の映画を見に行く事に決定した。

他のアニメの話や職場での出来事など色々な話をした。

デザートにパフェを頼んで食べたりしているとあっという間に時間は過ぎていき、長い時間喋っていた。

お互いの事をまた理解する事ができた良い一日だった。

とても楽しい時間を過ごした。

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