同じこと。

 結局、二日前の不思議な出来事の理由は分からないまま.....自分の家へ帰る日になってしまった。

 私は今、荷物をまとめて帰る用意をしている。


『あおいちゃん、ちょっとこっちにきてごらん?』と、祖母に声をかけられた。

祖母が私を呼ぶ時は道中で食べるものやちょっとしたお土産を持たせてくれる時だ。


『なぁに?おばあちゃん。』

 私は祖母について行った。予想通り、途中で食べるおにぎりや、美味しそうなお菓子を持たせてくれた。



『これくらいかねぇ.......。あ、そうだあおいちゃん。』

 荷物を詰めながら、祖母はこんな話を始めた。

 それは私が体験したここと、似たような話だった。


『おばあちゃんもねぇ、あおいちゃんくらいの歳の時、同じようなことがあったんだよ。』

 私はとても驚いた。祖母も私と同じように不思議な事を経験していたんだと。


『それは女の子?』

 私が質問すると、祖母はこくりと頷いた。


『女の子で、確か名前は.......』

 祖母は古い記憶中からあの出来事をゆっくりゆっくり思い出していた。


『けいちゃん.....?』

 私は我慢出来なくなって、祖母にもう一度質問した。すると祖母は、はっとしたように顔を上げてまたこくりと頷いた。


『そう........たしかに ....けい、って言っていたよ.....。不思議だねぇ、ついさっきまで忘れていたのに......はっきり思い出したよ。』

 祖母は嬉しそうな顔でこう言った。


『おばあちゃんにも、分からなかったんだ.....きえちゃったりゆう。』

 祖母は、頷いて『でもね、』と続ける。


『でも、今ちゃんと理由も分かった気がする。』

 私は驚いて、すぐに聞こうとしたけれど祖母は教えてくれなかった。

 教えくれない代わりに『もう少し、大きくなったら分かるようになるよ。』とだけいってくれた。


『あ、お母さん呼んでるよ、急いで荷物詰めてしまおう。おばあちゃんも手伝うから。』

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