おはなし。
『けいちゃん......かわいい名前だね。』なんて私が言うと女の子は顔をしかめて、『かわいくなんかないよ。すぐ男の子とまちがえられるんだもん.....』と言った。
女の子.....けいちゃんが自己紹介をしてくれたので、私も自己紹介をして握手する。毎年この町に来ているけれど、友達ができたの はこの時が初めてだった。
『ねぇ、けいちゃん。けいちゃんはこの町にすんでるの?』
私はもう一つ、気になっていたことを聞いた。けいちゃんはまた可愛いらしく笑って首を振った。
『山の、ずぅーっとむこうにすんでるの。』
山の向こう.....ここよりさらに離れた場所なのだろうか。私は立て続けに質問する。
『そのお山のむこうはどんなところ?』
『ホタルとか、たくさんいるの??』
『川遊びとか、できるの??』
私が、あまりにもたくさん質問をするものだから、けいちゃんは困った顔をして『あの.....もっとゆっくりしゃべって?』と言った。
✱✱✱
しばらく話していて、分かったことがある。それは、二人の性格に関することだ。
自分の性格が【活発】だとするならけいちゃんの性格は【大人しい】という言葉がぴったりハマる女の子だった。
『あおいちゃんは、いつお家に帰るの?』
不意に、けいちゃんがこんなことをきいてきた。
『あさって、けいちゃんは?』
私も同じことを聞いてみた。するとけいちゃんはニコッと笑って『もうすぐ』と答えた。
けいちゃんのその言葉を私は少し、不思議に思った。
『でも、帰る前に.......いきたいところがあるの........』
そう言ってけいちゃんはひとりで、暗い夜道を歩き始めた。
『待ってどこいくの??』
私がそう聞いてもけいちゃんは歩くのを辞めるどころか、どんどんスピードを上げて歩いていった。
『もうすぐ帰るんなら、ここにいた方がいいよ!?』
私はけいちゃんの後を追いかけて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます