不思議な少女
河原に着いたら、まず当たりを見回す。
しばらく周りを見渡していると、遠くの方にちらほらと黄緑色の光が見えた。
『あっ、いた!』
私は嬉しくなって大きな声を出してしまった。
すると母に『静かにしなさい。』なんて少し叱られる、これも毎年のこと。
『今年も見られてよかった.......。でもだいぶ減ってるねぇ.....』
母はホタルを見に来ると決まって自分が子どもの頃の話を始めるけれど、私はそれを無視して夜の河原の景色を眺めた。
『ん?』
しばらくぼーっと景色を眺めていると、河の対岸にたくさんのホタルが、集まっているのが見えた。
対岸へ渡れる橋があるから、そこを渡って対岸を目指す。
私が対岸に着く頃には、あのたくさんのホタル達はもういなかった。
『あーあ、ざ〜んねん....。』
母を心配させても悪いから、帰ろうとした時.....背中に人の気配を感じた。
橋に背を向けて反対側を見ると、私と同じくらいの女の子が1一人立っていた。
私が『こんばんは』と挨拶すると、女の子はぺこりと頭を下げた。
『ここでなにしているの?』
女の子が私に質問する。多分、こんな時間に一人てこんな場所にいることを不思議に思われたんだと思う。
私からすれば、この女の子も十分不思議だけれど。
『ホタル、見てたの。』
私が答えると、女の子は可愛らしく微笑んだ。
『きみ、名前はなんて言うの?』
今度は私が質問する。別に順番というわけではないけれど、私もきになったことを質問した。
『けい。』
女の子は小さな声で私の質問に答えた。
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