75話 【さくらの悩み】
「証拠、ありますから」
いつもより強い口調のゆきちゃんが1年2組の担任らしき人に言った。奥にはゆみかちゃんだ。ゆみかちゃんから話を聞いていたんだなぁ。
「さくらさん、動画見せてくれる?」
「は…はい!」
ゆきちゃんは少し怒った様子で1年2組の担任の先生に動画を見せ、1年2組の担任の先生は顔色ひとつ変えずに“そうですか”と言って、今日は皆帰ってしまっただろうからと明日解決することになった。ゆみかちゃんも帰って良いことになって、危ないからと私とふーくんで送ることになった。
ゆきちゃんが怒っていたのはあの先生のせいだろうか。ゆみかちゃんがちょっぴり寂しそうに見えたのはあの先生のせいだろうか…。
「さくらさん。あの、この2人も…」
礼儀正しいくんとはるかちゃんが立っていた。
「こんにちは! 今日はありがとうございました!」
礼儀正しいくんはふーくんに気づくとしっかり挨拶をし、ふーくんは“うっす”っと照れ隠しをしていた。
「こんにちは! ゆみかの親友、はるかです!」
はるかちゃんは元気に私たちに挨拶をしてくれた。2人も心配だったようで5人で一緒に帰ることとなった。
「ゆみかー、“杉原”、ちゃんと話聞いたー?」
“杉原”とは担任の先生だろうか。
「…ううん。山田くんにからかわれたのよねって言われて、どうしようってしてたら肯定したみたいになって慌ててるところに、先生とさくらさんたちが来てくれたの」
え…。
「ひっどー!」
はるかちゃん…。
「まぁ、杉原にどうしてもらおうなんて思ってないだろ」
礼儀正しいくん…呆れてるのかな。
「どういうことだ?」
あ、ふーくん。私も思ったよ!
「杉原…僕たちの担任は生徒に興味がないんです。自分のことだけ気にしてるから、いじめ…とか揉み消すと思って…。俺…僕も気づいてあげられなかったから何も言えないんすけど」
「そんな…」
「私も! ゆみか…ほんっとにごめんね。元気ないって気づいてたのに何もできなくて…」
「ううん、2人のも私のこと助けてくれたもん! ありがとう…!」
「もっと早く助けたかったけどなぁ」
私もだよ、礼儀正しいくん…。
「りゅうたろは助けてたけど、私は何もできてないよ〜...」
はるかちゃん...。
「…私が不安な時にね、はるかが来てくれて。それが救いだったの。まだ大丈夫だって思えたから。…でも、辛いって言えなくて…勇気がなくてごめんね」
「ゆみか〜…! 私に迷惑かけたくないとか考えたんでしょ? その気持ちも嬉しいけど、ゆみかが辛い方が私はすごく辛いからこれからはもっと頼ってね! 私も頼るから…!」
「はるか〜…! ありがとう!!」
2人は大号泣で、礼儀正しいくんもちょっと泣いてて、いじめで辛いことがあったけれど、素敵な友情を見られたなぁ…。
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