63話

「ふーくん! お待たせ〜、帰ろ!」

掃除からさくらが帰ってきました。


「おぅ、お疲れ」


「ありがと」




「ふーくん、しりとりしよー!」


「しりとり?」

また突然しりとり大会が始まる模様です。


「あれやろう、えっとー」

ん? しりとりじゃなかったのか?


「胸きゅんしりとり!」


「え?」

胸きゅんしりとりだと…。胸きゅん…しりとり…?


「胸きゅんする言葉とか、文章だけでしりとりするのー!」

なんだその激ムズゲームは!!!


「…難しそうだな」


「あ…やらなくてもいいよ!」

おっと、さくらに気を使わせている…!! ここは難しいとか、恥ずかしいとか考えずに楽しむべきか!


「いや。できるかわかんねぇけど、やるかー」


「私もできないかも〜、やってみよー!」

よく考えたらさくらの胸きゅんセリフが聞けるってことか! 最高のゲームかもしれない。


「じゃあ、さくらから」


「最初何にする〜?」


「じゃあ、しりとりの“り”からー」


「うふふ、ありきたりだ〜。“り”か〜」

しりとりの初めの言葉って“り”しか思いつかないんだよなー。どんな胸きゅんくるかなー。


「リスみたいにかわいい!」


「おぉぉ…。え、それ胸きゅんか?」

女子が言われたら喜ぶ…のか?


「うーん…これ難しいよ! はい、次ふーくん!!」


「えっと、“い”か…」

い…いか、違うな。いつも…いつも好き。んー…。


「これ難しいな」


「でしょ〜! 胸きゅんしりとりって難しいものだったのかー」


「いつもありがとう…とか?」


「うふふ。胸きゅんであってるかわかんないけど、嬉しかったからいいか〜!」


「めっちゃむずいな」


「んー、私次もうさぎみたいでかわいいとか言っちゃってできないかも〜」


「俺もできねー、やめるか」


「だねー、ちょっと練習しとく!」

練習ねぇ。


「ん? 誰と」


「ゆみりんたち〜!」

おぉ…いらぬ心配をしてしまった。


「じゃあ俺は…1人で練習するか」


「うふふ、1人で胸きゅんセリフ考えてるふーくんかわいい〜」


「かわいくないだろ…。次やるときは胸きゅんさせてやるからな!」


「あはは、楽しみにしてるー!」


おっと…強がって難しいことを言ったような…。

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